【第389話】経営者が独自の道を歩むために大切なこと
「初めて、自分で考えたビジネスだと胸を張って言えるような気がしています。考えるって楽しいもんですね。」と社長ご自身も展示会に赴きます。
ちなみに、他の経営者から「あなたは考えてない」といわれたとしたら、どのように返答されるでしょうか?
例え、大御所の先輩経営者に言われたとしても、すぐに受け入れることはできず、口には出さずとも腹の中で「僕だって考えてますけど…」となるでしょう。
面白いことに、経営において「考える」というのは、考えている人から見ると、考えてない人が分かるのですが、考えてない人は自分が考えてないとは気が付きません。
当然のことながら、経営者ともあろうお方が、何も考えてないなんてことはまずありません。しかし、「考えてない」と言われてしまうのには、確固たる理由があります。
その前に、例えば、何か新しいビジネスを立ち上げようとすれば、様々、情報収集をしたり、それを検討したりと、実行に向けた準備を進めることでしょう。
この際、実行までに、どんな情報収集をしてどんなプロセスで検討を進めるでしょうか…ということなのです。
ビジネスには、その難易度レベルで大きく二つの階層に分かれます。それは、「考え方」レベルのビジネスと、「やり方」レベルのビジネスです。
まず分かりやすいので、「やり方」の方からお伝えすると、ビジネスが「やり方」レベルとは、そのやり方が分かれば、概ね運営ができてしまうというものです。
このため、ビジネス立上げの中で“考える”ことも「やり方」レベルの検討になります。そういう意味で、採算性の向上を目指す創意工夫も、「やり方」を“考える”ことになってしまいます。
もう少し補足すれば、ビジネスの立ち上げや採算性向上の検討における論点が、もっと上手い「やり方」に違いを求めるビジネスといえます。
これが、「考えてない」と言われる理由なのです。ビジネスの核となる本質部分はこれまでと同じで、そのやり方の改良にまでしか考えが及んでいない…と指摘されているのです。
当然のことながら、商売ですから「上手くやる」ことは大切です。ただし、「やり方」だけに経営者の仕事を求めたとするならば、それは部長や課長と何が違うのですか…ということなのです。
もうお分かりと思いますが、「考え方」レベルのビジネスとは、そのビジネスの核となる部分、商品・サービスや提供方法などを自分たちで考えて創っているビジネスのことです。
あるいは、その商品・サービスや提供方法の全部ではなかったとしても、その新商品、新サービスに「新しい」と呼べる要素が“開発”されているかどうかと言うこともできます。
ここで、「考え方」ビジネス、「やり方」ビジネス、どちらが良い悪いということをお伝えしているのではありません。
どちらでも間違いなどではないのですが、決定的に違うことがあるので、「考え方」ビジネスを目指しませんか…とお伝えしているのです。
その決定的な違いとは、収益性です。
「考え方」ビジネスは、考え方次第ですから、考えるのは大変ではありますが、いくらでも付加価値を生み出す余地はあります。
反面、「やり方」ビジネスはやり方の改善以上に付加価値を生み出す余地がありません。
このため、「やり方」ビジネスで市場参入してしまうと、早晩、商品サービスへの創意工夫をあきらめて、ビジネスを横に拡げようとする方策に走ってしまうことになりがちです。
独自路線の成長とは、決して「人と違う」ということではなくて、ご自身で考えて、考えて、考えた末に行きついた納得の道なのです。
まだ、私は人より上手くやっている…と自慢しますか?
残りの経営者人生、ビジネスを考えていきませんか?