【第388話】“苦肉の策”が経営を高める

「ホント、常に綱渡りですが、何とか渡り切ってきましたよね」と、親しくさせていただいている経営者。独自の技術力と人間力で渾身の新事業を軌道に乗せようとしています。

 

少し考えれば分かることですが、渾身の新事業、思い切った既存事業の再構築、独自開発の新製品サービス、こうした取組みが思い通りに進むはずがないということです。

 

さながら、限界、無理、手詰まり、失敗…、こうした状況に必ず遭遇します。

 

ただし、それはいわば「理想と現実」といったことであり、描く理想と今目の前の現実の間に埋め切れそうにないほどに大きなギャップがあるということですから、このこと自体、ある意味で正しい高い「理想」の描き方をしているといえることです。

 

こうした意味で、この限界こそが、次なるビジネスの核になるところだということです。実際、成功ステージに歩みを進めている新事業構築というのは、必ずこうした壁を越えています。

 

これを反対から見れば、こうした壁を越えずして、本当の意味で「新しいビジネス」のはずがありませんし、こうした壁を超えるかどうかが、存続発展の条件といえるでしょう。

 

こうした、理想と現実のギャップ、いわば壁に遭遇した際、経営者の態度は大きく二つに分かれます。

 

それは、解決法を探そうとするのか、自ら考え出そうとするのかの違いです。

 

大切なところなので補足すれば、解決法を探そうとするというのは、すでに何かしらの“やり方”がどこかにあると考えて、それを探して調達してこようとするという態度です。

 

反対に、自ら考え出そうとするというのは、どういう“考え方”であれば自ら求める答えにたどり着けるかを求める態度です。

 

経営者として“やり方”を探すのか、“考え方”を求めるのか。一見すると、どちらも情報を求めて行動しているために同じように見えたりするのですが、その行動目的が決定的に違うのです。

 

少し考えれば分かることですが、商売の種というのは、誰かが創っています。

 

その種を創るのが、独立自尊の経営の起点であり、その種を他の誰かに頼ったならば、それは、あなたのビジネスではないのです。

 

このことを「例え小さくとも三角形の頂点でビジネスをする」とお伝えしています。

 

誰かが創った三角形の傘下にハマるのではなく、例え小さくとも自らが頂点となるビジネスを企画する意識が大切です。

 

このためにも、“やり方”を買ってきたビジネスではなく、核のなる部分は自らの“考え方”から築いたビジネスで勝負することを強く願っています。

 

「〇〇という設備を導入できれば、××という製品が造れる」、「このために設備導入の資金が必要」といった発想というのは、例え××という御社にとっての新製品が造れたとしても、それは本当の意味で新事業でも新製品でもないのです。

 

理想と現実、その狭間にある壁に自分で考えた解決法で挑むことが新事業構築の要といえることです。

 

そのためにも、既にある“やり方”を求めず、先人の知恵である“考え方”をトレースすることで、ご自身らしい新たな解決法を求めていただきいと願います。

 

出来上がった部品を組み上げる作業法を求めているだけならば、アルバイトでもできることです。新事業の核となる部分というのは、常に苦心の中で自ら考えたことで成り立っています。

 

これは、置かれた環境の中で精一杯に考えて導き出したいわば「苦肉の策」であり、決してカッコ良かったり、キレイだったりするだけのものではありません。

 

だからこそ、理想を追い求めるためにも、まずは自ら考えた「苦肉の策」で少しでも前進することが大切です。

 

新事業、新製品が買ってきたものになっていませんか?

自ら考えた「苦肉の策」で前進しませんか?

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