【第60話】売上に新風をもたらす“キーコンセプト”の設定法

御社の事業は何ですか?という問いに対する説明のレベルは、その企業の業績に比例すると言っても過言ではないでしょう。

 

足りている時代に、何らかの価値を世の中に提供して、お客様からその対価を頂いているのですから、その価値についてしっかりと説明できることが、事業の成長発展に不可欠であることは言うまでもありません。

 

とても端的に言ってしまえば、説明できるから儲かっているのです。

 

ここでいう説明できるとは、自社がどんな価値を提供しているかということについて自覚しているからこそ成せる業であって、意図的に価値を仕掛けているという証左でもあるということなのです。

 

自社の事業を説明される際、多くの社長殿は最初に「提供販売している商品」をお話されます。いわゆる業種です。

 

続いて、その商品の「特徴」をお話されます。つまり、自社の商品がどのように優れているのか、間接的には他社とどう違うのか。。。と。

 

「弊社はで金型を作っており、自社工場で月産3千個の受注生産に対応できます。」であったり、「当店は葉山牛専門の焼肉店です。」とか、「当館は3百年前からの源泉を有する温泉旅館です。」といった感じです。

 

この説明だけでは、何だかお願いしたい気持ちになりません。なぜなのでしょうか?大きく二つの点で不十分です。

 

まず一つ目が、御社の製品・商品・サービスの買い手である“私”がどのように嬉しいのか、つまり“私”にとっての便益が説明されておらず、こちら任せになっているという点です。

 

温泉に入りたい理由や感想は人それぞれだから。。。では説明として不十分なのです。例えば「当館の温泉にゆっくり浸かって、日常を忘れてみませんか?」と言い切ってあげなければなりません。

 

この場合、この温泉旅館が提供しているのは「日常を忘れた時間」であり、温泉はその手段という関係になります。

 

足りている時代というのは物理的にモノが足りているということ。商売を繁盛させるためには、モノを売るのではなく、そのモノを通じて得られる便益を売ると考えるべきなのです。

 

そして二つ目が、売り手の意志が感じられないという点です。こんな特徴の商品でこんな便益を提供できます、という説明だけでは、この会社が提供にあたって何を理想と考えているのかが分かりません。

 

前述の温泉旅館でいえば、例えば「癒しの別荘」といったことです。この説明は、自社が提供している便益の「大元となる便益」と言えます。図化するとこんな関係です。

 

意志 ⇒ 便益(by商品 with特徴)

 

そして、この意志を現したものが「コンセプト」であり、特に企業全体や事業全体を包含する形で設定したものを、弊社では“キーコンセプト”と呼んでいます。

 

“キーコンセプト”とは商品提供の考え方や基本姿勢であり意志を伴ったものです。お客様から見ればこの企業から得らえるであろう最終的な便益です。

 

「当館の温泉にゆっくり浸かって、日常を忘れた時間を過ごしませんか? 3百年の歴史ある源泉かけ流しのぬる湯炭酸泉があなたを大露天風呂でお待ちしています。 癒しの別荘 〇〇館」

 

しっかりとお客様に説明しなくてはなりません。

 

足りている時代、意志への賛同が売上に新風をもたらします。“キーコンセプト”が説明できる企業とは、お客様に対して、未来に対して、自ら独自の意志を持って事業に邁進しているということ。強くなるのは当然と言えるでしょう。

 

御社の“キーコンセプト”は設定できていますか?

そして“キーコンセプト”は社員と共有できていますか?

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