【第96話】事業を成長させるために不可欠な「知られ方」のコツ

御社の事業は何ですか?とお聞きすれば、いくら時間があっても足りないほど説明は尽きないでしょう。

 

仕事柄、多くの事業についてお話をお聞かせいただきますが、最初にお聞きした時点で、業況については概ねの察しがつきます。

 

これは決して話し方が上手といった類のことではありません。事業構造や提供価値の魅力度といったことです。

 

社長殿の説明が「弊社は〇〇屋です。」と言う場合、聞く側からすると、○○できたり、○○を作ったり売ったりしている会社だということは分かります。

 

つまり提供価値は、○○そのものとのご認識ということです。ですから、この後に続く説明としては、大抵の場合、○○の特徴になります。

 

何を取り扱っているか、それにはどういった特徴があるのか。。。という基礎となる一連の説明はどんな場面でも必要ですが、こと資金調達に向けた事業性の説明や、受注に向けた営業トークなどの場合、これらの説明だけでは残念ながら不十分と言わざるを得ません。

 

それは、御社から〇〇を購入することによってどういったメリットがあるのかについて、聞く側の想像力に一任されてしまっている点です。

 

例えば、「これは特許技術を用いた石鹸です。××や△△を多く含み、防腐剤、着色料、界面活性剤などを一切使用しておりません。」という説明を聞いて、欲しい・買いたいと思いますか。。。ということです。

 

「最強の抗酸化石鹸が誕生。アンチエイジングに美肌、アレルギー肌を整えます。肌や体に優しい自然由来成分100%だから安心。永く続けたいというお客様の声にお応えしてお得な定期お届けコースはいつでも解約可能です。無料サンプルお試しください。」

 

これはあくまでも例ですが、「特許技術の石鹸」という作り手の立場からの説明を、「最強の抗酸化石鹸」というお客様の立場からの説明に転換しているということです。

 

加えて「肌に最も優しいアンチエイジング石鹸を目指しました」などと、開発コンセプトとして、作り手の意志や想いをお客様の立場から主張できたとすれば、なお一層欲しい度を向上させることができるでしょう。

 

こういった欲しいと思っていただける準備に加えて、提供方法を含めた販売拡大のシナリオやチャネル、クロスセルやアップセルといった売上面、アライアンスや生産拡大効率化への取組など費用面についても建て付けを進めることで、事業の全体として競争力を構築していくことが大切です。

 

お客様に知っていただきたいのは、実は商品そのものよりも、それが直接的にもたらしたり、それに付随してくる“効能”です。市場とはその“効能”を欲しいと思う括りであって、商品そのものの規模ではありません。

 

市場を創るとは、新機軸で新たな“欲しい”を創ることであって、成長シーンには決まって独自の市場定義があるものです。

 

残念なことに多くの企業が未だモノを売る意識に留まっているために、一所懸命モノの説明に終始しています。

 

さらに、モノや効能の説明をさて置き「私が有名になれば売れるかもしれない」といった勘違いもお見かけします。

 

差別化が難しい商品の営業マンや、教える内容が同じ講師などであれば、個性的な出で立ちも“違い”の演出には一役買うかもしれませんが、こと事業という全体で見れば、本質を見誤ったアプローチとさえ言えるでしょう。

 

経営を伸ばしておられる経営者殿は、そこらへんを良く理解されています。世の中から“何”で対価を頂いているのか、ということです。延いてはそこを起点に、効能→事業→会社→社長の順で知られる意識が大切です。

 

御社が対価を得ている市場は何ですか?

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