【第94話】独自の成長を描くために必要な「企画」3つの条件

経営者には特別な立場が与えられています。

 

それは「自社が目指す未来を自由に語れる」という立場です。上場企業ともなると、ステークホルダーや株価への影響などもあり、自由に発言することは慎まなければならないですが、それであってもなお経営者が語る未来というのは説得力の桁が違います。

 

ところが、この立場を十分に活かしきっておられない方もいらっしゃいます。つまり、自社が目指す未来をしっかりと語れない。これでは持てる力の多くを発揮していないのですから、勿体ない以外の何物でもありません。

 

ただし、ここで経営者が語る未来構想とは、政治家などが語るものとは根本的に違います。政治家は国民などの代議を得て、立法や制度と予算配分を通じて社会問題の解決を目指しますが、我々民間経営者は、株主の決議を得て自社の事業を通じて目指す未来を創っていきます。

 

つまり、お客様への貢献を通じて目指す未来を実現していくということです。法的には企業の所有者は株主でありつつも、その生き死にはお客様が握っている構造にあります。

 

そのお客様はそんな未来構想に興味など無いかもしれません。例えそうであっても、それ自体が直接的に売上利益を生まなかったとしても、経営者は目指す未来構想を示すことが絶対に必要です。

 

その理由は既にお感じのことと思いますが、事業活動とは一定の思想を伴わなければ、単なる金儲けの手段に成り下がってしまうからです。

 

事業活動は、付加価値を世に提供するための取組みであって、単にお金を集めるための活動ではありません。

 

ある事業に接して何か違和感を持ったとすると、その事業は多分、集金システムだからです。それを本能的に感じ取っているのでしょう。

 

経営者の方には独自の成長を描いて頂きたい。心底そう考えています。そのためには、とても大変なことですが「企画」を考えていかなければなりません。この「企画」には満たすべき3つの条件があります。

 

まず一つ目は、当然のことですが、自社で「企画」を考えていくということです。他人の考えた「企画」に便乗して、独自の成長発展を望むことなど期待できないことは明らかです。

 

そのためには、先ず自社で新たな「企画」を打ち立てる、ということを腹に決めてしまうことをお願いしています。

 

自社で「企画」を創れないと、いつまでも下請け的な経営に甘んじることになってしまいます。独自の成長、独立自主的な経営を目指すためには、絶対に自社で「企画」を打ち立てなければなりません。

 

二つ目は、現有能力を起点にするということです。事業成長の実質は、事業活動の充実、組織能力や従業員の成長に他なりません。経営成長の本質とは、組織能力向上の軌跡なのですから、この「企画」立案の場面も意図的に能力向上の一貫とすることが肝要です。

 

もう少し補足すれば、自社の事業ドメインを拡大するイメージを持ちつつ、現有の独自能力を新たな使い方に応用するという発想です。多角化の軸足は独自能力なのであって、そこを外した飛び石事業に手を出してはなりません。

 

三つ目は、現有事業よりも高い収益性を企画するということです。発展飛躍のためには、事業スケールの拡大のみならず収益性の向上を考えなければなりません。

 

現有事業よりも低い収益性の事業を行えば、全体として規模は拡大するものの収益性は低下してしまいます。大切なのは売上高ではなくて利益、収益性です。小さくてもまず利益を出して、それを拡大再投資に回すという順番が大切です。

 

独自の成長を目指すならば、経営が下請け的だと悩むならば、ご自身の仕事観を再構築してみることが重要です。それには、経営者が目指す未来構想を掲げることが結局の近道です。

 

事業目的のレベルをもう一段上げることで、独自の「企画」を生み出していくために欠かせないスピリッツを宿すことができるのです。

 

御社の目指す未来構想は言葉になっていますか?

次なる「企画」は3つの条件成立を目指していますか?

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