【第91話】経営の“矛盾”に上手くケリを着けながら成長発展をつかむ法

事業経営とは“矛盾”だらけの道を進むようなものです。

 

品質とコスト、納期と価格、サービスコストと顧客満足、こだわりと顧客理解、投資とリスク、やるべきこととやりたいこと、従業員の増加とマネジメント…

 

彼方を立てれば此方が立たず。「三方よし」の精神を実現してくためには、結局、自社の利益を削っていくしか道が無いように思えてきます。

 

自社さえ我慢すれば。。。このシワのツケは従業員に回されることになるため、従業員のためにも経営者として踏ん張りどころです。

 

そんな立場で踏ん張っているのに、なぜそれが分かってない。。。何回も言っているだろ。。。と仰りたい気持ち。痛いほど良く分かります。

 

ですが、経営者たるもの全ては自分の責任。今一度、ご自身でできることを振り返ってみるしかありません。

 

中小ベンチャー企業の多くが、自社の価値感や社長の考え方を“文書化”しきれずにいます。これは明らかに成長発展にとってマイナスです。

 

組織論において、チームが持てるポテンシャルを発揮するためには、共通目的、貢献意欲、コミュニケーションの3つが必要と言われています。バーナードが提唱したこの「組織の三要件」は組織成立の条件であり、存続の条件といわれています。

 

“文書化”が目的ではありませんが、この三要件を組織に上手く伝え浸透させていくためには、「言う」か、「書く」かしか方法はありません。

 

言い続けることも大切ですが、その前に、書いてしまうことが上級経営者への近道です。

 

例えば、東証一部に上場している営業力が核の某不動産企業は、自社が求める営業マン像、望まれる行動規範を、しっかりと“文書化”し、考え方として『先に』示しています。

 

体育会系な販社さんなどに多いのですが、「どう売るか、誰に売るかを考えるのが営業マンの仕事だ」というスタンスで、売り方を丸投げするパターンをお見受けします。さらに、放っておくとサボるだろうとの性悪説から、営業ノルマを課した上で、行動管理としての日報を取るというやり方です。

 

こういった管理手段は、営業マン同士の競争に力点を置いているので、営業成績に差を生むと同時に、全員をチームとして機能させることは難しいといえます。

 

営業ノルマを達成した営業マンは、それ以上に働こうともしません。そして常にノルマ達成が難しい営業マンの存在が問題視され続けます。こういった管理手段の下で、この問題は永久に解決することがありません。

 

従業員個々人を個人事業主と捉え、競わせ、フルコミッションで給与を決める。そういった会社運営そのものを否定しているのではありません。それはそれで一つの方法です。

 

ですが、会社をチームとして従業員全員が共に豊かに生活していこうと考えるのであれば、経営者としての考え方を『先に』示す必要があるのではないですか、と申し上げています。

 

経営者として『先に』考え方を示す。是とする基本姿勢を予め決めておく。この考え方との整合性で評価する。この範囲において起こったトラブルは会社がしっかりと前に出て従業員を守る。

 

会社として、経営者として、やって欲しいことを従業員に対して『先に』示すことが肝要です。そのための合理的な手段が“文書化”なのです。

 

ここでの“文書化”のコツは、考え方、スタンスを示すことです。

 

一方で大企業は、ガバナンスの観点から“文書化”が過度に進み、考え方を通り越して手順レベルでマニュアルが定められることによる過剰管理の弊害に苦しんでいます。

 

労働装備で劣る中小ベンチャー企業が大企業を超えるパフォーマンスを発揮するには、チーム戦による一点突破が鍵を握ります。そのための合理的な手法が、経営者の考え方を『先に』示すための“文書化”なのです。

 

御社の考え方は“文書化”されていますか?

事が起こる『先に』示されていますか?

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