【第90話】“コスト”の本当の意味を知ることが経営に成長発展をもたらす!?

お金が入ってくるのは大変ですが、出ていくのは意図も簡単です。ですが、経営が投資である以上、出ていく方は投資であり、入ってくる方はリターンという関係にあります。

 

つまり、常に先に手元からお金が出ていき、後から帰ってくる構図なのです。

 

そう考えれば、しっかりとお金を使うこと、投資することが、経営上とても重要なことだということが再認識されます。だからこそ、しっかりとしたリターンが企画できていること、すなわち勝算を企てることが大切です。

 

そして、このお金を使う先というのは、実は皆様の事業の協力者でもあります。

 

ところが、“コスト”という言葉になった途端に、何やら切り詰めるべきもののように取り扱われたりします。ムダを省くための工夫努力と、工夫を放棄した単なる“コスト”カットは似て非なる行為です。

 

“コスト”は原価、費用、経費などと思われがちですが、その正体は違います。

 

事業の構想者、企画者として大切なのは、必要な協力者を集って、お客様のために働くチームを形成しているという意識です。こういった意識を持つと、より強いチームや事業構造を手に入れるためには、必要な部分に対する投資は惜しみたくない。。。という感情が芽生えてくるのではないでしょうか。

 

しっかりと“コスト”をかける。。。と申し上げると、無駄遣いを推奨しているように聞こえるかもしれませんが決してそうではありません。

 

原価論において“コスト”とは『犠牲』です。

 

今朝の食事やその材料、毎日使うパソコンの部品や素材、いつでも水がでる蛇口、ボタン一つで快適温度になる空調、頑健な事務所の建物や部材、当たり前にある電気。。。すべては先人方を含めた誰かの努力的な『犠牲』の上に成り立っています。

 

単にモノをお金で買っているのではありません。誰かの『犠牲』の結果を、お金という交換手段を通じて手に入れているのです。

 

これが分かると、“コスト”を「かける」といった場合、一か八か「賭ける」のではなく、お金の使い方に事業の未来を「懸ける」意志を注入する意識が芽生えてきます。

 

そして、使命達成に向かって、社員・従業員さんや仕入先様などに苦労を「掛ける」という覚悟こそが、経営者が“コスト”を使うことの本質的な意味です。

 

我々の事業や生活は、誰かの『犠牲』の上に成り立っています。事業の企画者として考えるべきは、自らの意志に賛同し『犠牲』を払ってくれている方々に対して、その『犠牲』をムダにしないようにしっかりと世の役に立つカタチに転換することです。

 

常々、「売上は買えるが利益は買えない」と申し上げています。M&A、製造能力増強投資、多店舗展開投資、値引きや広告などによって一定程度の売上を獲得することは可能です。しかし、工夫努力が足りなければ、仮に売上が上がったとしても利益率の向上は期待できません。

 

利益とは、費やした『犠牲』に対して世にもたらす価値の方が上回っている状態のことです。ですから、『犠牲』を効率的に価値に転換する仕組み、すなわち事業の構造設計が重要なのです。手伝ってくれている誰かの『犠牲』をムダにしないためにも、“コスト”の投下がリターンを生み出すことに執着すべきです。

 

お金を積極的・意図的に使いましょう。ですが、そのためにもう少しだけ深く考えてみませんか。

 

“コスト”を投下してからリターンを得るまでの道筋をしっかりと描くことが大切です。例え1円であってもそこからのリターンを構想する経営者癖が大切です。

 

やってみてその効果を試す・探すという発想は絶対にナシです。めちゃめちゃ考えて“コスト”を掛けずにそこまで見通している人がいるのですから、その発想自体が既に“コスト”的に負けていると言わざるを得ません。ぶっ飛んでいても良いのは情熱に支えられた行動的努力であって、事業の構想力は冷静さと伴にある思考的努力によって鍛えられるものです。

 

御社にとって絶対に譲れない“コスト”は何ですか?

“コスト”投下がリターンを生む仕組みを描けていますか?

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