【第89話】飛躍をもたらす投資と残念な投資の決定的な違い

経営とは投資です。この投資は誰にでも参戦資格があります。どんどんやって構わないのです。むしろ世の中から推奨されています。

 

企業は、投資によってリターンを得る可能性を手にしますが、同時に投資資金を回収できないリスクも負うことになります。

 

投資にあたり、多くの社長殿が頭を悩ましています。ですが、この悩ませ方には、とてもハッキリとした違いがあります。

 

ある社長殿は、思い切って生産設備増強、最新技術導入。。。などと説明されます。こういった説明から分かるのは、この事業はその設備さえあれば誰にでもできる、と仰っているのと同じということです。

 

こういった投資の場合、反論を恐れずに申し上げれば、誰にでもできるのですから、頑張ってもコストを売り上げに転嫁するのがやっと。つまり、上手くいって収支トントンということが簡単に分かります。上手くいった上限が投資回収であり、投資リターンを期待することは難しいといえます。

 

よくよく考えてみると、投資として、建物を建てたり、設備を買ったり、お店の内装を整備したりするというのは「お金を使う行為」です。大きなプロジェクトともなれば、その投資プロジェクトの全体をマネジメントする能力も必要ですが、投資の実態が単にお金を使うだけなら、特に難しい事は無いように思えてきます。

 

つまり、投資の悩みの本質とは、資金を使う投資時点のことではなくて、資金を投下して獲得した能力を使って“何をするか”にあるということです。そして、その取り組みからしっかりとリターンが得られる水準で稼げるかどうかということです。

 

世間一般では、多くの投資が失敗するといわれていますが、とてもそうは思えません。しっかりと準備した方々は、やはりそれなりに稼いでいます。では、しっかりと準備した状態とは、どういったコトなのかと。

 

まず、最初に大切なのが、投資に対する目標の置き方です。売上も大切ですがそれ以上にリターン、つまり利益に目標水準を置いていることが大切です。

 

経営は投資であり、投資とはリスクテイクです。そのリスクに見合ったリターンを享受できて初めて投資は成功したと言えるのです。

 

無情な言い方に聞こえるかもしれませんが、最終的に経営は数字です。ですから、投資にあたっては数字で目標リターンを捉えておくことが大切なのです。

 

これを実現するためには、売れる前の準備、売れさえすれば儲かる準備が必要ということです。具体的には、お客様が喜んで高い単価を支払ってくれるための準備と、それを低コストで実現するための準備です。

 

この準備とは、つまり付加価値を生みだす力点を予め“開発”しておくということです。

 

稼ぐ社長殿は、投資実行の前に、売れさえすれば儲かる仕組みを設計することに注力します。しっかりとタメを作ってから世の中に放つのです。

 

こう説明すると何やら誤解されそうです。投資は儲かれば良い。。。などと申し上げているのではありません。お伝えしたいのは、付加価値を生みだすことに注力される社長殿は、ほぼ確実に、お客様のことを考えているということです。

 

自らの使命感に従い、お客様のためを考え、それを実現するための能力獲得のために投資を行うということです。つまり出発点が、自社がなすべきという使命感なのです。

 

一方、投資に失敗する社長殿からのご相談の特徴は、手段レベルに留まるという点です。こういった設備があれば〇〇できる。。。といったところまでしか言及できません。

 

これでは先行他社と同じようになるための外観を整えるだけの投資になってしまいます。経営上の勝負とはその先、その設備を使って何をやるか、どう戦うかにあります。使命感を伴わない概形的な投資は、単なるお遊びの浪費でしかありません。

 

残念な投資は見た目を整えるために“今”を買うに留まります。一方、飛躍をもたらす投資は使命感に基づき“未来”を買います。使命感が投資に意味を与えます。

 

御社の投資は使命感起点になっていますか?

投資意識は、能力獲得後の力の使い方を見据えていますか?

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