【第51話】KKDを活かしつつ成功確率を上げる方法

KKDとは「勘・経験・度胸」のこと。こと事業経営においては「KKDだけに頼っていると経営を間違う」といった文脈で用いられます。つまり、KKDじゃダメだと。

 

ここまで言われていても、多くの経営者がKKDで失敗側に堕ちていってしまいます。では、なぜKKDじゃダメなのでしょうか。

 

KKDは意思決定にあたって拠り所となる思考パターンです。これはこれで経営者としての判断の軸となっていきますので、悪いことばかりではありません。これまで経験してきた様な事態であればKKDは極めて有効な対応能力といえるでしょう。

 

つまり、KKDは経営の「実行力」に関する能力といえます。

 

ですが、KKDの問題点は恣意的でかつ対処療法的であるというところです。

 

恣意的ですから、判断そのものが正しいかどうかは、やってみなければ分かりません。ですから、結果見たさに直ぐにやってみたいという衝動に駆られてしまうのです。

 

そして、KKDは問題への優れた対応能力である一方で、対処療法的あり問題を未然に防ぐという概念が絶対的に不足しています。“今”への対応能力でしかないのです。

 

この事業は何となく行けると思う(勘)。。。何か起きても対応できると思う(経験)。。。後は走りながら考える(度胸)。。。

 

KKDによる経営意思決定とはこんな感じでしょうか。今の時代、このような思考的にヨチヨチ歩きな状態で出発した事業を軌道に乗せられる確率はどの程度と思われるでしょうか?

 

経営とは基本的に“未来”への対応能力を競っています。むしろ、望む“未来”を自らの手で創り上げていくという感覚に近いかもしれません。

 

このような状態を前提とすれば“今”に対応できることは最低限の条件でしかありません。

 

経営とは能力蓄積を基本とした顧客創造であり企業間競争です。KKDによって実行能力が高いことは経営者の有能さの一部分ではありますが、それだけでは足りないのです。

 

顧客や市場、競合他社の動き等、自社にとっての前提条件が変わっていくことも含めて先を見通していかなければなりません。

 

望む未来を創り上げていくために必要な能力が「計画力」です。客観的に未来を見通し、必要な算段を企てる力です。

 

新事業の立上げや新製品・新サービスの開発とは、どれほど大きな会社であっても、現有の能力領域を超えて挑戦領域に入っていかなければなりません。

 

だからこそ、経験した事の無い挑戦領域での勝算を高めていくために、計画化という手続きを通じて十分なシミュレーションを行っていくのです。

 

「実行能力がある・高い」KKDだけでは不十分で、客観性を持った原因療法的な計画化という手続きが必要なのです。

 

計画化とは事業の離陸に向けた加速プロセスです。事業実態そのものは動きだしていなくても、頭の中で事業を加速させていく過程です。そして十分に加速させて離陸準備OKの状態で事業を開始することが理想です。

 

変化が激しく早い今の時代、KKDによる意思決定、実行力に依存した経営で事業を飛躍させることなど困難なのです。社員やその家族を路頭に迷わせるようなことにならないようにするためにも「計画力」を鍛えることが大切です。

 

「計画力」とは考える力。苦しくても思考的な努力を疎かにしてはなりません。考えることから絶対に逃げてはなりません。KKDという実行に係る能力向上も大切ですが、その実行努力を活かすも殺すも「計画力」に懸かっているのです。

 

御社の意志決定は客観的かつ原因療法的ですか?

そうあるために「計画力」の向上に取り組んでいますか?

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