【第480話】勝負の年、経営計画に欠かせないこと

「やっぱり、それは経営者の夢ですよね」と社長。新たな設備投資で規模拡大を目指すと同時に、もう一つの方向性を掲げられました。

 

それは、「自社看板で勝負する」ということです。

 

こちらの社長、素晴らしいのは、ビジネスには中身としての違い、難易度があるということについてしっかりとご理解されているということです。

 

ビジネスは、表からは同じ様に見えたとしても、その中身は全然違うものです。

 

例えば、「金属部品の製造販売」は、中身として何を生業としているでしょうか…ということです。

 

金属部品を造ってるんでしょ、造ったんだから販売してるに決まってるでしょ…と思われたことでしょう。

 

ここで大切なのは、“製造”といっても「誰に言われて造っているのか」、“販売”といっても「誰に売っているのか」という点です。

 

大切な点なので補足すれば、金属部品を製造していると言っても、決まった仕様で部品を造る場合もあれば、自分たち側の設計仕様で造ることもあり得ます。

 

つまり、造っている…といっても、そのビジネスとしての程度範囲が違うということについてお分かりいただけるものと思います。

 

あるいは、販売している…といっても、またビジネスとしての範囲程度が違いがあります。販売流通業に卸して売ってもらうのか。それとも、自社で営業して売っていくのかといったことです。

 

このように、製造についても販売についても、自分たち側と外の誰か側の間にビジネスを成り立たせている境界線があって、その境界線の位置によってビジネスの中身が定義づけられます。

 

前述の自社看板ビジネスとは、商品サービスを“自分たち”で設計開発し、お客様も“自分たち”で開拓する、というものです。

 

多くの企業の経営が「請負型」なのに対して、自社看板ビジネスとはいわば「開発型」といえるものです。

 

ちょっと考えれば分かることですが、事業の経営というのは、多くの利害関係者、ステークホルダーの中で成り立っています。

 

ですから、こうしたステークホルダーとの関係調整もまた経営であり、ステークホルダーからの関与具合をどのように仕立てていくかもまた経営です。

 

自社看板ビジネスは経営者の夢ですよね…というのは、造るモノを自分たちで決めたいし、売り方についても自分たちで決めていけたら幸せだよね、という意味です。

 

経営が、どこかの“誰か”に握られることなく“自分たち”で決めていける…。これは経営者やそこで働くメンバーにとっても自由度の高い経営、とても幸せなことです。

 

ただし、外の誰かに依存しない、頼らない…と言う意味で自己責任の経営といえることでもあります。

 

自分たちで生きようとするのか。あるいは、誰かに活かしてもらおうとするのか…。経営者の胆力が試されます。

 

勝負の年。そうであるならば、経営計画には、こうしたビジネスの範囲的なこと、資金調達面を含めて、経営の独立自尊度を高めていく方向性への覚悟を込めたいものです。

 

商品サービスについて自社開発の領域範囲を高める。販売についてもお客様への直接度を高める…ことを計画する。

 

これまで“誰か”に頼っていた部分を、“自分たち”で担おうとする覚悟が経営に質的な成長発展をもたらします

 

次期の経営計画は、請負型から開発型に向かっています?

どうせ勝負なのですから未来の“自分たち”に賭けてみませんか?

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