【第479話】経営の独自性は“出す”ものか“出る”ものか!?

「やっと、この歳になって…自分の商売ができるようになってきました」と社長。先代のご逝去から、それを引き継ぎ30歳代で社長となり、既存事業の立て直しの他、数々の事業を立ち上げてこられました。

 

そして、50歳代になられ、社長人生も約20年。やっと…とのことで、これまでの歩みと近況をお聞かせ下さいました。

 

弊社ではこうした成長路線を「自社看板ビジネス」と呼び、売上利益といった量的なことよりも、むしろこうした質的な成長の道を強くお勧めしています。

 

ここで、「自分の商売」とか「自社看板ビジネス」と聞いて、ニヤッとされた経営者の方に、これらの説明は不要でしょう。

 

こうしたビジネスの型の違いを理解し、意図的にその立ち位置を目指そうとされている経営者であれば、他社のビジネスを見てもその型の違いが分かるものです。

 

面白いことに、それが見えていない経営者にとっては、何のことを言ってるかも分からない…ということが起こり得ます。

 

そしてもっと面白いのは、こうしたビジネスの型の違いというのは、業種業態の違いなどではありません。

 

その意味で、一見、外から見ただけでは分からないのですが、前述のとおり、分かる経営者には分かるのです。

 

では、なぜ、どうやって分かるのか…、その答えは簡単です。社長のお話を聞けば分かる…のです。

 

外から見たら同じようなビジネスなのに、社長のお話を聞けば、ビジネスの型の違いが分かる人には分かるのです。

 

というのも、こうしたビジネスの型の違いというのは、経営者の“考え方”の違いだからです。

 

ちなみに、「自分の商売ができるようになってきた」という感覚は、どういうものだと思われるでしょうか?

 

少なくとも、「仕事減ってきたから仕事ちょうだい」と言える経営者の友人たちや人脈が増えてきた…ということではなさそうです。

 

「自分の商売ができるようになってきた」とは、ご自身が動くことでビジネス自体が生まれている状況、いわゆる「もらい仕事」から自らの「創り仕事」で売上利益が立つようになってきたという意味です。

 

これに伴って、ビジネスにとって、とても大切なことにも、面白い変化が起こります。

 

それは、価格です。もらい仕事の場合、概ね客先で予算が決まってしまっており、その予算内で…となりますが、創り仕事の場合、その価格の提案権は自社側になります。

 

当然のことながらお客様側でこの価格を飲んでいただかなければお取引は成立しませんが、少なくとも価格を提示するのは自社の方になるということです。

 

能力をそのまま売って仕事をもらおうとするのか、能力を企画提案に仕上げて仕事を創ろうとするのか…、この考え方の差が、価格の提案権の有無という経営の立ち位置を決定づけます。

 

これは言い換えれば、経営が、考え方レベルに昇華されているのか、あるいはやり方レベル止まりなのか…の違いです。

 

ご自身で考えてビジネスを生み出していれば、そこには自ずと独自性が出るものです。一方、やり方レベルの経営はどうしても模倣の域を超えないので、そこで独自性を出そうとしてしまいます。

 

そしてヘンに奇抜な小手先のアイデアや、後ろめたさを埋め合わせしようと妙に崇高な社会的意義を叫ぶことになってしまうのです。

 

ご自身のビジネスをしようと戦っていますか?

独自性を“出す”ものではなく“出る”まで考えていますか?

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