【第478話】成長発展の道を歩んでいくために大切な目標設定の実務

「やっと〇億円まできたので来期は×億円を目標にしました」と社長。こちらの社長、これまでに多くの辛酸を舐めてきた経験から、今では、この方が経営すれば大抵の事業は上手くいくだろう…と思わせて下さる方です。

 

こういう方が経営目標を数字で語っている姿だけを見て、目標とは売上数字で掲げれば良いんだな…などと表面だけ見様見真似で、当社は〇億円を目指す…といった目標を掲げてしまうのはとても危険です。

 

というのも、それは目標設定というものの中身が、まだ半分だからです。

 

経営を高め伸ばしていこうと考えたならば、「高い目標を掲げることが大切」と言われます。

 

ただし、これは単に「世の中を変える」といった妙に壮大で意識的なことや、「売上〇億円」といった突拍子もない数字を掲げることではありません。

 

まず大切なことは、目標とは自社、自分に対して課すことだということです。

 

ですから、「高い目標」を掲げることとは、目標達成に向けて、それ相応の努力を惜しまないということに対する必達宣言だということです。

 

そう考えれば、「高い目標」とは、世の中一般的に見て「高い目標」ではなくて、今の自社の実力を起点として、今よりももっと高いところを目指すという現実的な意味合いで「高い目標」なのです。

 

高い目標…の意味とは、未来の成長可能性を信じることであり、もっと成長した自社の未来像を描き、絶対にそこまで行くぞという自分に対する負荷の掛け方を掲げているということです。

 

少し話は逸れましたが、目標設定というと、どうしても数字、目に見える可測なものを思い浮かべがちです。

 

確かに、こうした目に見える数字で目標達成を見ようとすることは、その達成度合いを測る意味で大切なことです。

 

しかし、こうした数字だけの目標設定の経営が、ほとんど確実に散ってきたという歴史から我々は学ばなければなりません。

 

こうした先人たちの失敗例から学べることは、目標設定の中身とは、大きく二つから成っているということです。

 

それは、質と量、この両方が必要だということです。

 

ここで“質”とはビジネスの難易度、技術力向上や新市場開拓度といったことです。これまで以上の技術力向上や進歩発展に挑み、その結果、新たな市場や顧客を創造しているかということです。

 

そして“量”とは、そうした質的なモノを数字で測ろうとするものです。それは、結果として売上や利益かもしれませんが、質を測ろうとしているという点で、単なる数字としての量ではないのです。

 

数字にも質があります。こうした質を無視した量だけの目標設定は、必ず失敗の道をたどります。

 

なぜそう断言できるかといえば、その理由はとてもシンプルです。

 

数字だけを達成しようと安易な方向に流れてしまうからです。優勝する…という目標を達成するために大人が小学生の大会に出場しても意味はありません。

 

高い目標を掲げる…、どんな難易度に挑むかという質的な挑戦があり、その達成度を量的に測定しようとしています。

 

まず質があって量です。ですから、量だけの目標設定は、必ず悲哀の末路をたどってしまうのです。

 

目標設定の実務では、数字の前に、進むべき道、目指す方向性を目標化することが大切です。

 

御社の目標は、世の名へのお願いではなく、自分たちの努力宣言になっていますか?

量の前に質で目標設定していますか?

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