【第481話】目指す未来を実現していく経営数字の意味と設定法

「ちょっと一度、ウチの“数字”見てくんない?」と社長。先進的なビジネス領域でこれまで順調に経営規模を伸ばしてこられましたが、昨年、ガックリと躓いたとのこと。

 

計画がこれほど外れたことがなかったため、何が原因なのか、修正すべきところ、新たな打ち手、これからの道筋…を考え直してみたいとのご意向です。

 

昨年、多くの経営者とご一緒する中で、次なるビジネスの仕込み、今後の展開といったことをお聞きすると同時に、足元では、売上が落ちた、利益率が減った、注文が激減した、不動産を手放す…といったお話も多く耳にしました。

 

新型コロナで経済全体の運動量が減っていましたが、補助金や融資といった資金供給のカンフル剤が効いて何とか持ちこたえていましたが、コロナで需要を先食いしてしまったような業界もあり、そのツケが回ってきています。

 

経営者にとって景況感とは天気予報のようなものです。自分の力だけではどうしようもない気温、雨風、台風…に対応して備えておくための情報です。

 

経営者は経済という不確実な世界を生きていますから、経済の天気予報は見ておくに越したことはありません。

 

GDP、日銀短観、鉱工業生産指数、機械受注、小売売上高、消費者物価指数、景況感DI…、こうした経済指標には、是非とも目を通しておきたいところです。

 

「物価は上がっているのに小売売上高は増えていない」となれば、それがどんな状況を意味しているのか、何をすべきか、どんな修正を加えなければならないのか、自ずと見えてくるはずです。

 

少し話は逸れましたが、経営者であるならば、不況不遇を乗り越えて、これからの事業機会、未来に目を向ける意識が大切です。

 

こうした際、経営者の仕事は「考える」ことなので…とお伝えすれば、経営者の意識を知ることができます。

 

 

とある社長は、ニヤッと笑って「その通り」と仰います。言葉よりもこの「ニヤッ」との方がご回答です。ご本人が考えるのでそれを手伝ってくれ…という意味です。

 

しかし一方で、ある社長は考えていないと指摘されたと感じ、切れ気味な表情で「もう考えてる」と仰います。もう考え得ることはやっているのだから、後何をやれば良いか「答えだけ教えて欲しい」と。

 

これは求めているのが「やり方」レベルです。つまり、「考える」ということを、新しい「やり方」レベルのことやテクニックだと思っておられるということです。

 

やり方社長は拡げようとし、考え方社長は深めようとします。

 

ちょっと考えれば分かることですが、物事を考え貫いていくと、それを現わすに相応しい“言葉”が見えてきます、

 

そして、それを更に突き詰めていくと“数字”で表現できるようになっていきます。

 

考えが浅いと、言葉が上滑りしていたり、数字まで落とし込めていない、といったことが起こります。上滑りした経営理念の下で、自分がやりたいだけの、やり方レベルのセコい新事業を拡げようとします。

 

考えを深めようとすれば、まずは今いるところを深く掘ろうとすることが大切です。そうしているうちに、その深さから自ずと進むべき新事業、道筋が拓けてきます。

 

成長もいろいろ…“拡く”なのか、あるいは“深く”なのか、その根本と手順が違います。

 

考える…とは深さ方向の成長を目指すことです。考えることで言葉が研ぎ澄まされ、数字とって現れ、より付加価値あるビジネス、粗利の高い展開がもたらされます。

 

こうして粗利が高まることで、その再投資によって複利で指数的な成長がもたらされます。複利とは時間の関数であり、これは時間と共に経営が強くなることを意味します。

 

ビジネスを現わす“言葉”が上滑りしていませんか?

商品サービスの付加価値を“数字”にまで落とし込んでいますか?

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