【第482話】本物の挑戦体質を育てるハングリー精神の持ち方

「もう将来的には色々と何でもAIとかロボットがやってくれるんでしょ」と社長。数名の経営者と喫茶店で軽いランチ。コーヒーをお代わりしながらもう2時間、楽しい経営者談義が続きます。

 

ここ最近、生成系AIが話題ということもあって、仕事柄「どうなの…?」と聞かれる機会も増えています。

 

AIの主な適用分野は、テキスト処理、音声認識、画像分析ですが、従来までの「自動化」に加えて「コンテンツの生成」ができるようになり、しかも精度良く早いし簡単とあって、面白いね…何かビジネスに活かせないの…となっています。

 

例えば、翻訳の分野では随分と以前から導入されています。しかし、AIが統計であるという数学的な構造から、限界もあります。

 

実際、翻訳であれば、AIが統計的に演算して「分からない」場合、その部分の翻訳が削除されてしまったりということが起こります。

 

面白いことに、こうした未来の世界というのは、漫画や映画の世界で一足早く表現されていたりします。

 

ちなみに、映画「アイアンマン」。主人公のトニー・スタークがコンピューターに設計を指示し、その設計に従ってロボットが自動的に製造し、あっという間に「アイアンマンスーツ」が出来上がります。

 

ただし、このスーツの動力となるアークリアクター、熱プラズマ反応炉の半永久発電機だけはAIが造ることはできず、主人公トニー・スタークの天才的な創造性が生み出したものです。

 

少し話がそれましたが、昨今耳にする、AIが多くの仕事を奪う…といった見方はヘンな話です。そもそもAIといった技術開発は世の中をより便利に、より生産的にしていくことを目指してきたものであり、低生産な仕事に時間を奪われなくて済むようになると理解すべきことです。

 

こうした新技術が実用レベルになると、ビジネスシーンにはこぞって導入が進みます。

 

こうした新技術の導入にあたって、経営姿勢が現れます。それは、「買ってくるだけ」か、あるいは「どう使うかを考えようとするか」の違いです。

 

大切な点なのでもう少し補足すれば、「買ってきた新技術に食わせてもらおう」と思っているのか、あるいは「新技術を道具として製品サービスをどう高めていこうとするのか」の違いです。

 

言うまでもなく、ビジネスの本質的部分というのは、一生懸命に考えて生み出された創意工夫です。

 

こうした創意工夫、付加価値のないまま新技術を導入したとて、一時、腹は満たされたとしても、その先はありません。

 

単にお腹を満たそうとしているのか、あるいはご飯を食べた上で何をしようとしているのか…、もっと先へ、もっと上へ…、ハングリーの意味が違います。

 

稀に、「この最新の生産設備があれば新しい商品が作れるんです」というお話をされる経営者がいらっしゃいます。これは、とても残念なことです。確かに新商品を作るために最新の生産設備は必要なのかもしれません。

 

ですが、同じ設備を導入しさえすれば競合他社も同じ新商品が作れてしまうことくらい、誰でも分かることです。そして価格競争になり、設備投資の回収もままならず…という未来シナリオは自明です。

 

経営が新技術の下請けになるのか、新技術を道具としてもっと先に行こうとするのか…。経営の挑戦とはおカネで買える部分の先にあるものです。

 

ステイ・ハングリー…とは、目標達成への強い意志とか向上心といった華々しいことよりも、むしろ進もうとすることで立ちはだかる困難にじっと立ち向かい続けるような、泥臭くて忍耐ある姿勢といえるでしょう。

 

困難の解決をおカネで買おうとしてしまっていませんか?

ハングリー精神はお腹を満たすその先を目指していますか?

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