【第46話】“営業”を活かしきるための手順

仕事上、社長殿から「営業の動きが悪い」、「営業が直ぐに値引くから利益が出ない」、「もう一歩、気合いが足りない」。。。といった“営業”に関する要望をお聞きします。

 

とても単純に言ってしまえば、商売とは作って・売ること。モノが足りない時代には作る能力を獲得すればある程度売れていきました。しかし、足りている時代になると、売る能力が無ければ経営を支えていくことはできません。

 

ですから、売る能力に社長殿の要求が高まっていくのは時代の流れとも言えます。

 

このように、事業経営においてとても重要な機能であるにも関わらず、昨今“営業”職の地位が高いかというとそうでもないように感じます。

 

むしろ、お客様の無理難題を勝手に了承してくる面倒な存在、社内の手続きを守らず勝手な事をする存在、会社の領収書でお酒を飲んでくる人達。。。といったイメージをお持ちの社員の方々もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

そしてさらに、自分は“営業”にはなりたくないと。

 

過去、某企業の営業マン達を応援するために、プライベートな勉強会を行っていました。営業マン達は仕事が終わった後に集まり、積極的に議論を重ねていました。

 

そういった活動や日頃のコンサルティング先で感じるのは、未だ“営業”の俗人的な能力への依存度が相当に高い、という点です。

 

大企業の場合、社内でオーソライズされた営業戦略が先にあります。必要な体制・人員配置、ターゲット層への展開手順、パンフレット、営業トークスクリプト、顧客対応Q&A等も準備され、広告の後ろ盾も得ながら、営業マン達は全体として営業戦略に従いながら個人の裁量も発揮しつつ展開していきます。

 

しかし、中小企業の場合、売りモノが決まったら、社長殿や営業部長殿から「後はよろしく!」という鶴の一声で、特段の手順を持たず“営業”が各々飛び出していく。こういったことが未だ多いようにお見受けします。これでは、今の時代、なかなか成果を出すことはできません。

 

“営業”をもっと活用しようと思うなら、法人営業であればザックリであっても以下の手順を踏むことをお勧めしています。

 

①その商品のウリを顧客にとっての便益・効用として文章化する。

②説明道具として、かつ客先殿へ置いてこられるようにパンフレット化、提案書化する。

③会社として営業先をリスト化し営業順と目標受注件数を決定する。

 

我々は、対象が例え俗人的要素が強いと考えられている“営業”であっても、基本的にこれまでの経験や理論を用いた科学的な世界に持ち込みます。だからこそ再現性高く売上を向上できるのです。

 

ですが、仕事というものの全てが科学的に解決できるわけではないことも知っています。販売成果は、営業戦略の優越もさることながら、最終的には“営業”の能力や努力、人脈や地域の繋がり、更にはお伺いしたタイミングといった不確定要素も関係してきます。

 

科学的に対応するといっても、これらを無視しようと言っているのではありません。仕事とは、極めて人間的な営みだからです。

 

“営業”を考える場合、時代を経ても変わらない大切な視点があります。それは“営業”とはお客様との“接点”である、という普遍的事実です。

 

“営業”はお客様にとって御社の顔でありサービスへの入口です。お客様も事情を抱えており、その事情に自社の商品で解決を挑む。そういった俗人的な仕事だからこそ“営業”は面白いのです。

 

前述のような手順を踏んでいくと、社長殿や営業マンに「行ける!」と思える瞬間が降りてきます。こうなると「新規受注したら一杯やりましょう」とか、「私に任せてください」といった言葉が出るようになったりします。

 

「販売とはこれまでの努力を現金化する行為」です。“営業”はその担い手であり、販売を伸ばしたければ最前線で戦っている“営業”を称える文化が不可欠です。

 

御社では“営業”を称える文化を意図的に根付かせていますか?

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