【第47話】受注を決定づけるビフォアサービスの王道とは

昔々、「新聞とりませんか?」と近所を周っていた新聞販売店の販売員さんは、洗剤や野球の観戦チケットなどをオマケして契約をとっていました。

 

今は訪問販売のやり方が規制されていますが、仮に来たとしたら、洗剤やスポーツ観戦チケットをもらったところで、その新聞を取るには至らないでしょう。

 

では、販売においてどういったサービスだったらお客様はグラッとするか。実際にやるかどうかは別として、これを考えておくことは販売を膨らましていくために重要なヒントを与えてくれるように思えます。

 

アフターサービスとは購入後のサービス。ビフォアサービスは購入前に購入意欲を喚起するための販促活動です。一旦、自社のお客様になればアフターサービスは次の購入に向けたビフォアサービスの性質も併せ持つことになります。

 

話を戻し、例えば、日経新聞を購読している人は新聞を通じて何を買っているのでしょうか。どんなサービスなら購読しようと考えるでしょうか。

 

日経新聞の購読は、政治動向、金融政策、経済動向、他社の動きなどを知り、事業の成長、株取引の成功、ビジネスマンとしての成長、日経新聞を持って大手町を歩いている自分。。。といった価値を買っています。

 

日経新聞の新規の購読にあたっては非売品の経済情報の小冊子が届いたりします。実際これが欲しくて購読を申し込んだ事もあります。

 

ところが、このサービスが仮に「牛丼引換券」だったら。。。購読者にビジネスマンが多い、ビジネスマンの好物は。。。といった流れで連想すればアリな気もしてきますが、やはり日経新聞を購読するサービスが牛丼では何か違和感を覚えます。

 

新聞の主な購読者はビジネスマンである。よってビジネスマンの好きそうなモノをサービスすれば購読者が増える、という考え方の流れのどこがおかしいのでしょうか。この違和感はどこからくるのでしょうか。

 

これは、お客様が購入している中身について正しく認識しないまま、検討が始まっていることに起因します。

 

日経新聞は“経済情報”を売っているということであって、“新聞”を売っているのではないのです。新聞はあくまでも顧客へ届ける手段であって、売っているものは経済情報ということです。

 

ですから、主な購読者は経済情報を欲しい人であり、オマケとして欲しいものも経済情報なのです。

 

例えば、小冊子が「2015年日経新聞頻出経済用語TOP1000」などであれば欲しくて仕方ありません。このように購入する価値が高まるサービスが欲しいのであって、牛丼引換券では事実上の値引きに過ぎません。

 

こう考えてくると、ビフォアサービスを考えていく上でとても大切な出発点は、お客様から当社は“何”を売っている人達に見えているのかを認識しておくことと言えます。それこそがお客様からの期待なのです。

 

そんな事しないよと言われそうですが、これに似た状況を度々お見受けします。

 

経営を拡大させようと考えたり、経営が厳しい局面になると、新サービスの開発や販促グッズなどの開発が急務になります。そして自分達が何者なのか、何を期待されているのかを差し置いて、売れそうなモノ、欲しそうなモノのアイディア出しが始まってしまいます。

 

そうなると、どんどんと自分達ではなくなっていっていき、しまいには新聞屋さんが牛丼を配る羽目に行きつきます。

 

例えサービスであっても、お客様から“何”屋に見えているかという範囲を逸脱したモノの提供は、絶対に避けなければなりません。企業イメージを損なうような安易な選択は禁物です。

 

ビフォアサービスではお客様の価値の向上を目指しているという努力のカタチを表現しなければなりませんし、同時にこの努力こそが自社の〇〇屋としての強みを育てるのです。

 

御社のビフォアサービスは事実上の値引きになっていませんか?

お客様にとっての価値を高める努力であり、自社の強みを育てるものになっていますか?

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