【第437話】優れた差別化は共通性から生まれる

「差別化しないと…と思ってやってきましたが、そのことで“違い”の意味をはき違えていたんですね」と開発リーダー。

 

幸いなことに、渾身の新商品は素晴らしいものに仕上がっているため、これからの軌道修正で大きな飛躍が見込めそうです。

 

ちなみに、なぜ差別化が大切と語られているかといえば、それはとてもシンプルな理由によります。

 

つまり、お客様は商品の購入にあたって、類似の競合商品と比較するというプロセスを経て購入を決定するからです。

 

このため、こうした購入決定プロセスの途中で、類似の競合商品と比べてどんな違いがあるのか、優位性は…といったことが検討されるため、選ばれていくために差別化が大切と言われています。

 

これまでお伝えしてきたことについては、「そんなことは分かっている」というお声が聞こえてきそうです。

 

こうした差別化検討のプロセスで、なぜ大きな間違いが起こってしまうかといえば、それは差別化以前の認識不足に起因します。

 

ちなみに、新商品の特長や違いを説明することが差別化です。競合商品と比べて、このように優位性がありますよ…と、競合商品とのポジションの違いを説明しようとしています。

 

そうであるならば、差別化ポイントというのは、お客様別だということです。

 

とても大切な点なので補足すれば、新商品の差別化ポイント、類似する競合商品との違いというのは、その受け手によってお伝えすべきことは違うのです。

 

しかし、渾身の新商品、どうしても広く販売したいと思ってしまうため、差別化ポイントの整理が広くお客様に受け入れててもらおうとする商品自慢になりがちです。

 

差別化を語ることとは、お客様を理解することと同義なのに…です。

 

では、新商品の差別化にあたって、どのようなお客様にお応えすることを想定すれば良いかといえば、その答えはとてもシンプルです。

 

その新商品を一番欲しいと思ってくださるお客様です。

 

新商品の販売拡大、普及プロセスを考える上で、二つのアプローチがあります。一つは、顧客ピラミッドの上から。もう一つは、顧客ピラミッドの下からです。

 

新商品を広く販売しようとすると、どうしても顧客ピラミッドの下層、最も広い裾から売りたいと考えてしまいがちです。

 

しかし、これが間違いです。物事の普及には法則があるからです。

 

顧客ピラミッドの最下層とは、新商品について最も理解が乏しい層です。よって、販売活動がどうしても普及啓蒙活動になりがちです。

 

新商品の販売拡大を望むのならば、その法則的な入口は顧客ピラミッドの最上位、最も欲しいと思ってくださるお客様からです。そうしたお客様の購入がその下の層の購入を喚起します。

 

もうお分かりと思いますが、これを実践していくためには、お客様の考えを理解できることが大切であり、それは差別化、違い…といった表現をつうじて、むしろこうしたお客様から「分かってるね」と言っていただくための共通性を見出すことなのです。

 

新商品の販売を拡大していくための入口は「最も欲しいと言って下さるお客様」です。その意味で、この最初のお客様は相当の“通”であり、その“通”なお客様を唸らせるような「分かってるね」を魅せることが欠かせません。

 

新商品の販売にあって、違うだけで優位性は生まれません。むしろ、目の肥えたお客様との共通性を示し「分かってるね」と言っていただくような差別化準備が大切です。

 

その差別化は、本物のお客様に向かって叫んでいますか?

お客様に「違わないこと」を伝えようとしていますか?

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