【第436話】新製品を売れる顧客価値に転換するための重要視点

「提案書、遅くなりました」とのご連絡とともに、素晴らしい営業資料が送られてきました。

 

もうこれをお客様が目にしたならば、読み終わる頃には、手にハンコを持っているような光景が目に浮かびます。

 

こちらの新製品、初めての自社看板製品で、とてもしっかりと考えて創り込まれており、時代背景の後押しもあって、新たな成長の道がもう見えています。

 

ここで、営業資料を“提案書”と呼んでいることにお気づきでしょうか?

 

これは自分たちで売ろうとする販売拡大にあたって、とても大切な姿勢なので、もう少し補足させていただきます。

 

多くの場合、新製品の営業資料は“製品パンフレット”です。ところがせっかくのこの新製品パンフがとても残念なのです。

 

どのように残念かといえば、《顧客不在》なのです。

 

御社の製品パンフを見てみてください。新製品の企画開発に関わった技術系社員がその新製品のスペック等をまとめたものになってしまっていませんか?

 

これはいわば、製品開発報告書の概要版であって、もしかすると最後の最後、適用例にお客様のことが少しだけ書かれていたりしていないでしょうか?

 

それはホントに営業資料なのでしょうか? 社内資料ではありませんか?

 

これをお客様に見せるということを考えただけで背筋が凍り付きます。

 

ちょっと考えれば分かることですが、営業資料というのはお客様にご購入いただくことを目指して準備している資料です。

 

それならば、製品パンフがお客様へのご提案書になっている状態というのが、何を目指すべきなのかお分かりいただけるものと思います。

 

それは、お客様が使った後にどうなるか…をご提案しているということです。

 

提案書とは、新製品をご提案しているのではなくて、その製品をお客様が使うとどうなるかをお伝えしているものだということです。

 

先ほどの新製品パンフ、なぜ背筋が凍るかといえば、もうお分かりでしょう。「弊社ではこうした背景、問題認識、開発目標、技術開発、改良を加えて新製品を作りました」と社内事情を説明して、「ここまでやったので買ってください」と言っているのです。

 

大変な想いで新製品を開発したならば、もう一歩、踏み込んで準備する意識が大切です。

 

その具体策とは、新製品に「顧客を想定する」ということであり、その顧客向けに「用途を付す」ということです。

 

言うまでもなく“提案書”とは、お客様に向けたものです。ですから、お客様が違えば提案内容も違ってくるのは当然です。

 

ただし、ここでいう「用途を付す」とは、新製品開発プロジェクトで言うところの「用途開発」とは少しイメージが違います。

 

新製品開発の「用途開発」は、要素技術をどのような利用シーンに応用するのかを設定して、その開発仕様の物理的な達成を目指すものです。

 

一方、提案書における「用途を付す」とは、想定される顧客が購入後に手に入れられる価値を心情として描写しようと試みることです。

 

このことが大切だとお伝えしているのは、この提案書の準備過程が、お客様を理解しようとしているか…という姿勢として如実に現れてしまうからです。

 

経営はお客様活動だということをお忘れなく。

 

新製品パンフが開発自慢になっていませんか?

お客様への価値を訴求する提案書になっていますか?

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