【第435話】顧客を絞る…で昇る企業と堕ちる企業の違い

「顧客を絞れ…と専門家の方に言われたので、こうしました」と社長。こちらの業種は旅館業。ホームページがどうなっていたかといえば、トップページには地域の観光名所の紹介がズラッと並んでいます。

 

「これでは観光協会じゃないですか?」とお伝えすれば、「我々は地域を盛り上げたいと思っていて、観光業でもあるのです」とのご返答。

 

そして、どのように顧客を絞ったかといえば、「遠方からの観光客」とのこと。これは良く見る残念な間違いパターン。誤解も根深いので、順番に紐解いていく必要がありそうです。

 

まず、一番最初にお伝えしておかなければならないことは、経営に対する意識レベルに関することです。

 

昇る経営は、ご自身のビジネスに対して主体性を持っています。前述の社長も気持ち的には「主体性を持っている」と仰いそうですが、そうではありません。

 

ここで主体性とは、ビジネスに構造としてもっと直接的にご自身でお客様を創っていますか…ということです。「スキーに行くならウチに泊まりませんか?」という経営姿勢は従属的であり、主体性に乏しく商売が間接的、便乗的です。

 

ですから、まずは経営者としてご自身が中心となって、周りをご自身の商売の材料として使っていくような強い心で経営に立ち向かっていく勝負意識が大切です。

 

こうした独立自尊を目指す経営意識に大切なのは「ビジネスはお客様活動である」という原理原則です。

 

様々なお客様がいるから、色々なビジネスが成り立つ。だからこそ、御社にも存続発展の道が拓かれているのです。

 

であれば、顧客を絞れ…と言われたからといって、それは「じゃ、〇〇で」とそう簡単に言えるはずはないのです。

 

この意味で、「顧客を絞る」とは「顧客を明確化する」と理解すべきことであり、それは御社のビジネス定義そのものとも言える存続発展を決める重大事項なのです。

 

ここで、「顧客を絞る」ことで起こる問題を指摘しておきましょう。それは本当に顧客を絞っていったならば顧客は減るということです。つまり、「顧客を絞る」ことで、基本的に売上は減るのです。

 

経営者として一層の成長発展を望むならば、顧客は絞るのではなくて、むしろ拡げていくことを目指しているはずです。この葛藤は痛いほど良く分かっています。

 

でもなぜ、マーケティングの世界で「顧客を絞れ」と言われ続けているかといえば、売上を伸ばしたいとの渇望から、顧客を広く設定しすぎる傾向に対して警鐘を鳴らしているということです。

 

まずは御社の新商品・新サービスを欲しいと思っているお客様に対して優先順位を付けて、最も欲しいと思っていただけるお客様から順番に対応していきませんか?ということなのです。

 

こうした背景を踏まえた上で、「お客様を明確化」しつつも売上を絞らないような実務には、基本となる考え方があります。

 

それは、「デモグラフィック基準」ではなくて「サイコグラフィック基準」でお客様を語るということです。

 

デモグラフィック基準とは、年齢、性別、家族構成、職業、居住地、所得、学歴…といった人口統計学的、目に見えることでお客様を理解することです。

 

そしてサイコグラフィック基準とは、ライフスタイル、行動、信念、価値観、個性、購買動機といった心理学的、目に見えないことでお客様を理解することです。

 

商売とはお客様の心が市場です。ですから、お客様の心情、サイコグラフィック基準でお客様を理解する意識が欠かせないのです。同様の心情を持つお客様に広くご購入いただけることで経営が昇ります。

 

サイコグラフィックにお客様を語れていますか?

新商品サービスはお客様のどんな心情にお応えしようとしていますか?

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