【第434話】経営の計画は計画時点で勝負が決まる

「これをどう説明していったらいいか、考えてまして…」と、懇意にさせていただいている経営者。

 

そしてこう続きます。「自分で分かってなかったら伝えられるはずないですから」と。取り組んでいくことの全体像は整っていますが、それを「経営計画」と呼べるレベルへの磨き込みを行っています。

 

経営を中長期的に伸ばしていくというのは、売上利益といった数字面での実績も大切ですが、最も大切なのはそうした数字を生み出している目に見えない部分です。

 

ここで目に見えない部分というのは、描く未来、チャレンジングな社風、事業に対する使命感、そこに到達することの意義、それを遂行していくための価値観、顧客への貢献意識…といったことです。

 

こうした大切な目に見えない部分というのは、全て物事に対する「考え方」です。ですから、経営者の考え方を伝えられるように言葉にしていく努力をしなければなりません。

 

ちなみに、「考え方」を伝えるというのは、とても難しいことです。「やり方」を伝えるのとは次元の違う難しさなのです。

 

なぜ難しかといえば、その理由は簡単です。考え方…を伝えるための努力とは、思考の深さだからです。

 

なぜを5回繰り返せ…といったことを聞きますが、このアプローチは課題が明確な現場改善などの「やり方」には通用したとして、経営計画には通用しません。

 

そもそも、経営上の目的目標や課題というのは、それ自体が「考え事」だからです。

 

こうした考えることの苦悩から逃げる傾向がまん延しています。この失敗パターンを弊社では“社会性パフォーマンス”と名付け、クライアントの戦略立案時に解説しています。

 

この社会性パフォーマンスとは、社会性を発揮することで経営のパフォーマンスが上がっていくというものではなく、むしろその逆で、「経営で社会性を語るパフォーマンスはムダですよ」という意味です。

 

実際、これまで経営計画のプレゼンで社会性を軸に語った社長に、ホントはどんなんですか…と聞けば、全員が全員「本当にやろうと思っていたのと、どんどん違ってきていまして…」と、迷走されています。

 

大切な点なので補足すれば、社会性パフォーマンスがどのように語られるかといえば、「この事業を通じて地域を元気にしてきたい」、「この商品でお客様を笑顔にしたい」、「〇〇という社会課題を解決していきたい」といったことです。

 

こうした発言の本気度や真意を知ることはできませんので、そうですか…となりますが、お伝えしておきたいのは、間違いなく考えが浅いということです。

 

風が吹けば桶屋が儲かる…、もうお分かりのことと思います。

 

こうした社会性パフォーマンスの経営者で、どうしてそうした論理が成り立つのかを構造的に説明できる人は皆無なのです。

 

経営計画とは経営者の考えを深めるために書くものです。そしてそれを周囲に分かってもらうことを目指しています。

 

その主意を放棄して、その具体策も持たないまま、お客様を笑顔に、地域を元気に、世界へ…といったところで、高校生が「いつかビッグに」と言っているに等しいと言うことです。

 

特に、設備投資を伴う場合、計画が浅い影響は顕著です。影響が長期にわたるし、引き返すことができないからです。

 

成長の道を歩む経営者は、行動力に思考力を持ち合わせています。むしろ思考するために行動しているのです。

 

経営計画がまだ白黒ならもう少し考えてみることが大切です。色彩あふれ言葉躍るまで考え込んでみることが大切です。

 

やってみないと分からないと、考えることを放棄していませんか?

高い社会性でごまかして商品・事業を考えることから逃げていませんか?

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