【第430話】逆境を超えていくブレイクスルー思考の実務
「知り合いで困っている社長がいるから、ちょっと話を聞いてもらえる?」と親しくさせていただいている社長からのご連絡。
そういうお話は大好物なので是非是非とお伝えしたところ、ゴルフを設定して下さいました。
とても気持ちいい青空ゴルフ、前半ハーフを終えてのランチタイム、「実は、コロナで本業の〇〇が大変でして…、もう全く違う業態にしてはと考えてまして、××業界ってどうなんでしょうか?」とのお話。
はいはい…、そういうお考えですか。少し大切なディスカッションが必要です。逆境の時代、業態転換…といった経営革新がキレイな文脈で語られがちです。それはとても大切な経営意欲ではあるのですが、その際、重要なルールがあります。
これをご説明する前に、大変な逆境、時に倒産…といったまでのご経験をお持ちの社長方、そしてこうした逆境から大逆転して、憧れの大きなベンツに乗れるようにまでなっているような経営者には共通することがあります。
それは…、逆境時と同じ商売だという点です。その世界でもう一度、トライしているのです。大切なことなので補足すれば、逆境経験から新たな境地を生み出しているということです。
本当に大切なことなので更に補足させていただければ、そうした経験から新たな着眼、渾身のアイデア、他社とは違う切り口…を得て、そこにもう一度、再起を賭けています。
経営者の仕事は常に賭けみたいなものです。ただし、それは誰か他者に賭けるような博打的なものではなくて、もう一歩先が見えるようになった自分に賭けています。
ですから、先の社長殿には「他者のビジネスプラットフォームに乗るような、おカネでおカネを買うようなビジネスも選択肢としてアリかもしれませんが、折角のご経験ですからそれを活かして今の商売を発展させてみてはいかがですか?」とお伝えしました。
もういつも本コラムをお読みいただいている経営者方にはお分かりのことと思います。お伝えしたいのは、ビジネスの世界は常に機会にあふれています。同時に、本業の道を踏み外して本当の意味で成功した経営者などいないということです。
少し儲かったからと、余裕資金を働かせようとサイドビジネスに手を出して、それが蟻の一穴となり経営は堕ちていきます。
経営者の個人資産はどのように遊んで頂いても構いません。それは趣味みたいなもので、経営投資ではなくて一種の娯楽、消費だからです。
ただし、会社のおカネは遊んではいけません。本業としての哲学、意志を保たなければ経営は世の中への貢献を忘れて単なる金儲けのゲームに堕ちてしまうからです。
会社のおカネは、しっかりと会社の成長、ビジネス領域の拡大、新商品の開発、従業員の成長…といった意図を持って賭けて、落として、使っていくことが大切です。
こうした目的あるおカネの使い方が大切です。ある意味でリターンに賭けるおカネの使い方は経営者思考として絶対ルールなのです。
そのために欠かせない起点的な思考法とは「今の先に在る機会に目を向ける」ということです。今の先にもチャンスは必ずあるのです。
目の前の苦境で、折角、これまでの経験、これまで歩んできた道から逸れてしまうような選択は勿体ないのです。そして、それは経営者としての信念を疑われることです。
経営者としての考え方、哲学、理念…といったことに世の中からの信頼を失えば、それはもう経営者としての役割を失ってしまうことと同じです。
「新しい立派なだけの建前」で次から次と資金を調達して、時の新ビジネスを渡り歩いている経営者の顔が浮かぶのではないでしょうか。あなたはそっち側に堕ちてはなりません。
経営が前に進むような次なるビジネス、新たな打ち手、意思決定とは、まず今の経営から逃げずにその先を考えることです。それが他社とは違う御社独自のブレイクスルー、突破口をを生み出します。
逆境の時代だからこそ本業の道、御社の本道を歩み続けませんか?
機会思考でその先のビジネスチャンスを独り占めしませんか?