【第40話】ホームページで見られている経営者の意識とは
ホームページを拝見すると、その企業の考えている事を感じることができます。
今やホームページは、その企業がどういった商売を中心に活動しているかを表現する中心的な役割を担いつつあります。店舗の役割を担っているといっても過言ではありません。
ですから、クライアント企業にはホームページを持つことは絶対必要ですし、ホームページの記載内容はその企業の姿勢を見られているのだという意識をお持ちいただくよう説明しています。
企業活動の違いは、ホームページに如実に現れます。
消費財の企業であれば消費者・購買者に向けた商品紹介、商品認知が中心になります。昨今では商品ブランド毎にサイトを作り分けていることもあります。
BtoB取引が中心の企業ですと、ほとんどの取引はFtoF(Face to Face)での調整が必要になりますので、提供できる機能やサービスについて、網羅的に「こんなことできます」という信用獲得のための情報発信が中心になっていることが多いといえるでしょう。分かりにくいサービスの場合、導入事例、成功事例の紹介なども有効になってきます。
企業規模でも変化が現れます。上場企業や大企業になるほど、プレスリリース、経営概況報告や決算短信といったIR情報の提供部分が色濃くなってきます。IR専用サイトを別に設けている場合もあります。
ホームページで消費者に直販しているような企業であれば、トップページが既に商品販売のランディングページになっているような新たなページ制作アプローチも出てきました。
検索エンジンの検索結果で上位表示を狙うサーチエンジン最適化(SEO)、ホームページにFacebookソーシャルプラグインを埋め込むことによるSEO対策、Facebook広告によるホームページへの誘導、検索キーワードに連動して広告が表示されるリスティング広告などは、小規模事業者でも行える手軽で一般的な広告活動になってきました。
企業のホームページのコンテンツやサイトツリーには、以前であれば概ね標準的なパターンがありましたが、近年、このように多様性を増しています。みな相当に工夫して挑戦しているということですし、それだけ重要性が増しているという証左でもあります。
IT技術の進展も手伝い、ホームページはより高度に、より多様になってきていますが、実は最も気を付けなければならない点は、閲覧者はそういった技術的な部分よりもむしろコンテンツの“深さ”から多くの情報を感じ取っているという事です。
ここでいうコンテンツの“深さ”とは、商品・サービスの前後にまつわる事です。この商品・サービスで顧客をどう喜ばせたいのか、この商品・サービスをこの企業はどういった考え方で提供してくれるのか、この商品・サービスはどういった背景で生まれて来たのか。。。といった、その企業の姿勢です。
サイトの制作にあたって、エンジニアは適切な言語やエレガントなコードでバグの少ないサイトを作ってくれるでしょう。デザイナーはステキなロゴや写真でより良いデザインにしてくれるでしょう。
しかし、コンテンツの“深さ”を出すことができるのは当該企業だけです。ご自身にしかできない芸当なのです。ライターに文章化するという部分を手伝ってもらうことはできても、コンテンツの根っ子そのものを生みだすことは相当に困難です。
ホームページ制作・活用をお勧めしているのは単に認知向上や販売促進のためだけではありません。これには隠れた理由があります。それは、ホームページ制作・リニューアルを通じてコンテンツを考え抜くことで経営に“深さ”をもたらしたいということです。
日頃から断片的には分かっている自社の良さ・強み、既に買ってもらっているがなぜ売れているのかは良く分かっていない自社の商品・サービス、当社はなぜこの事業に取り組んできたのかというそもそも論。こういった日常業務の中ではなかなか取り組むことができない事柄について、ホームページ制作という通過点を設定し、それを超えていくことを狙っているのです。
この“深さ”こそが顧客や事業に対する経営者の意識水準を現していて、その事を閲覧者は如実に嗅ぎ分けます。ホームページは情報発信の場でもありますが、嗅ぎ分けられる場に乗ることでもあるのです。
御社のホームページは“深さ”を意図的に織り込んでいますか?
経営の意識水準を表現しきれていますか?