【第39話】アライアンスで価値を生みだせない企業の共通点

昨今、企業の行動が二極分化していると感じます。能力・知識を上手く収益化できる企業とできない企業です。収益化できる企業はどんどんと強くなり、できない企業は足りないものを探していつまでも放浪の旅を続けているように見えます。

 

勉強熱心なことはとても大切な事ですが、それらに振り回されていたのでは意味がありません。若い頃ならいざ知らず、こと事業経営にあたっては“放浪癖”は百害あって一利なしです。

 

能力が高いほど、稀少なほど、商売として収益化しやすいというのは事実でしょう。しかし一方で、世の中の商売繁盛がとてつもなく高度な能力に支えられているかといえば、そうでもありません。

 

それは、能力要素そのものだけで商売をしている訳ではないからです。儲かる事業とは能力を「売りモノ」に転換していて、その過程こそが付加価値の源泉になっているのです。

 

この世の全てを学ぶことなど到底不可能です。どこかに軸を据えて能力向上・獲得に取り組んでいかなければなりません。

 

とても残念なことに、“放浪癖”のある企業は、基本的に勉強好きなので自社が今勉強している領域の先輩方とアライアンス(連携)を築こうと考えてしまいます。

 

この時点で、自社にとって収益性ある事業になる可能性は限りなく低いと言わざるを得ません。なぜなら、そのような心持ちでアライアンスを構築すれば、自社が相対的に劣後する位置づけで体制に組み込まれてしまうからです。

 

自社が主役となり得ない事業に携わっているのですから、いつまでたっても損益トントンが限界、高収益を叩き出すことなど期待できません。

 

今の時代、新事業の立ち上げにあたりアライアンスは不可欠です。自社ですべての機能を持つことは難しく、自社で持つよりも資産効率的だからです。

 

ただし、アライアンスは基本的にフラットな関係ではありません。業務提携や相互補完関係といった甘えを生む言葉に惑わされてはいけません。実務的にはあくまでも機能調達による体制構築であり外注に近い関係です。重要なのは強みを提供しあう関係を構築することです。

 

つまり、自社の強みをしっかりと分かった上で、相乗効果が期待できる別の強みを調達するのがアライアンスということです。“組む”に近い感覚といえるでしょう。

 

強みを持たないままアライアンスを構築するとどうなるか。いつまで経っても勉強させて頂く立場、“連む”だけの甘えた関係が出来上がってしまうことになります。そして、そんな関係から何か新たな価値が生み出されることなどありません。

 

冷静に考えてみていただきたいのですが、どんなに狭くても、例え低くても自社の強み領域を見出さずして、儲かる事業を構想することなど無理なのです。アライアンス以前に取り組むべきはこの点です。

 

強みとは元来「~できる」という能力要素であるため、主体としての個人や企業の単位でしか保有することができません。そのため、強みづくりは自分でやる以外道は無いのです。

 

ですから、アライアンスによって強みを見出そうなどという発想は、他力本願な夢物語に過ぎません。

 

商売を継続しようと考えれば、自社の強みを意図的に創り上げていくことが重要です。そうすることでその範囲では一定の“自信”を持てるようになります。ここまでくれば放浪癖ともおさらばです。

 

新事業の立ち上げなどは、大丈夫かも。。。行けるかも。。。という“自信”を創り上げていく過程に他なりません。

 

どんな社長でも、どんな会社でも、どんな商品でも得意不得意はあるものです。心配要りません。それでも、商売は成り立ちます。お客様は何らかの良さ、価値を買うのであって、悪くないから買うのではありません。

 

アライアンスを組もうと考える前に自社の強みをしっかりと把握することが肝要です。

 

御社では自社の強みを把握し伸ばすことに注力していますか?

強みを“自信”にまで高めた上でアライアンスしていますか?

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