【第392話】社会課題の解決をビジネスにするための絶対ルール

「ところで、〇〇社長のところってご支援されているのですか?」と××社長は心配そうに仰います。

 

〇〇社長は、××社長もご存知の方なのですが、良い技術を持ちながらも「このままだと二進も三進もいかないのでは」、「少し手伝ってあげては」とのご進言です。

 

良い技術を持ちながらも、このままではビジネスにはならない…、××社長はそうお感じなのですが、これが実に的を得たご指摘です。

 

ここで、ビジネスというと、どこか儲けるといったことと思われるかもしれませんが、そういうことではなくて、社会的な役割を担い続けるために必要な採算性を確保することとお考えください。

 

つまり、このままだと〇〇社長のビジネスは「日の目を見ることはない」状況にあります。

 

こうした、二進も三進も…のビジネスに共通するのは、顕在化した目に見える問題をビジネスの対象にしているという点です。

 

そもそも、顕在化して目に見える問題というのは、大抵の場合、症状でしかありません。時代とともに、姿形を変えて現れてきますが、どれも症状でしかないのです。

 

当然のことながら、問題が無くなれば世の中が良くなるのかといえば、そうではないことをフツーの大人ならば知っています。

 

このため、社会課題をビジネスで解決…といった文脈で経営が語られる場合、それは、その諸症状への対策を請け負います…と宣言していることに等しいのです。

 

大切なことなので補足すれば、ビジネスの主戦場である“市場”を他人にお任せしてしまっているということなのです。他人が定義した土俵に、私も乗ります…と言っているだけなのです。

 

この経営意識の根本的な問題は、ビジネスが顕在化した市場によって定義されてしまうため、独自性、相違工夫の余地は、新たなビジネスの「考え方」ではなくてその範囲での「やり方」のレベルに制限されてしまうことです。

 

問題・課題を解決することがビジネス…という認識がまかり通っていますが、このことはしっかりと理解しておくべきことです。

 

問題・課題にもいろいろあって、負の領域だけでなくて正の領域もあって、民間の企業経営者が対象とすべきは“正”の問題・課題領域だということです。

 

経済の世界では「市場の失敗」と呼ばれる、採算に乗らないビジネス領域があります。こうしたビジネス領域というのは、民間に任せておいては問題解決にならないので、税金や制度で対応することになります。

 

一つだけハッキリ言えることは、優れた経営者は、問題・課題の設定を決して他人任せにしたりはしないということです。

 

これは言い換えるならば、すぐに売上になる顕在化した症状の解決に着目するのではなくて、その根本原因に近いところにご自身で問題意識を持って採算性の確立に挑んでいくことといえるでしょう。

 

こうした根本部分というのは、常にオーソドックスなものです。この類の挑戦にはある意味で目指すべき「考え方」の型があって、それを目指すことといえます。決して、症状対策の奇抜な「やり方」などではありません。

 

症状への対処法で請けようとするのか、症状の根本原因を独自に企画しようとするのか。経営者の問題・課題の設定自体が、ビジネスへのアプローチを支配的に決定づけます。

 

目に見える顕在化した問題・課題というのは、症状でしかありません。そのもっと根深いところに独自の切り口で深堀していくことで、新たな市場を生み出していく意識が大切です。

 

こうして自ら切り出した問題・課題、その市場こそが、新市場であり新事業と呼べるものです。

 

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