【第391話】激変の時代に経営の何を見直すべきなのか?!
「急なんですが、事務所を移転することにしまして…、あとやっておくことってありますかね?」と社長から嬉しいご報告のお電話を頂きました。とある企業が心機一転、事業所の移転を進めることになりました。
こちらの企業、アジアに広く生産拠点を持つなど、独自の強みを構築してきましたが、ここでもう一段ギアを上げて、今後の事業体制構築に邁進しておられます。
社長いわく、「みんな70歳まで働けるようにするからな」と嬉しそうです。そして右腕のプロマネは「そんな歳まで働きたくないですよ」と。
もちろん、これは本心ではなくて、笑顔で話されていることは申し添えておかなければなりません。
そして、嬉しいことに、印刷できたての「事務所移転のお知らせ」の第1通目を頂戴することとなりました。
昨今、新型コロナ、ロシアのウクライナ侵攻など、予想を超える“非常時”が頻繁に起こっています。こうした“非常時”というのは、“平時”とは異なる対応が必要になることは言うまでもありません。
大切なことなので、もう少し補足すれば、平時と非常時では物事の優先順位が変わるということです。
もうお分かりと思いますが、経営者にとって、大抵の場合、非常時なのです。常に何らかの喫緊の対応に追われており、それは目指す目標が高いほど、終わりのない課題に追われます。
ここで、課題とは、外部から必要性に迫られたものもあれば、ご自身で設定することで生まれるものもあります。
例えば、パワハラ防止法といったことです。2020年6月1日に施行されこの4月からは中小企業も義務化の対象となました。
ここでもうお分かりと思いますが、こうした法令といったことというのは、事業経営にとって所与であり、対応するしない…に選択の余地はありません。ただ前提として対応する…、だけです。
一方、前述の社長、「70歳まで働けるように」は高年齢者雇用安定法によるものではないということです。
あくまでもご自身で設定した経営の将来像であり、法令などの外部からの必要性に迫られて…というったものではありません。
激変の時代にあって、まず変えなければならない根本部分は、経営の前提に“非常時”を想定することです。
これは言い換えるならば、「今が続くことはない」ということを前提にして、そうした非常時にあって何を大切にしていくのか…をご自身で決めていくことといえるでしょう。
もう少し続けるならば、自社にとって大切な“幸福軸”を見直していくことといえます。
当然のことながら、前提は非常時ですから、それが達成できるかどうかは分かりません。しかし、少なくとも社長、経営者として、それを目指すことにコミットできるかどうか…、これは法令などによるものではなくて、社長ご自身で決めることです。
そういう意味で、従業員にどういう幸福軸を示すことができるかを具体的にしていく必要があります。
そして、もう一つ大切なのは、ご自身に対しての幸福軸です。何を幸せと思うか…、このことについて考えない限り、次期の経営計画が優れたモノになることはないでしょう。
もう少し具体的に考えるならば、「どんな人になりたいか」をイメージしながら、残りの経営者人生を組立てていくことを強くお勧めします。
経営者にとって最終的な財産とは、ご自身です。「どんな人だったか」、「苦難を乗り越えてどんな人になったか」です。ご自身の幸福軸を打ち立てて、目指していただきたいと切に願っています。
次期の経営計画が外部対応に追われていませんか?
ご自身、従業員の幸福軸を打ち立てていますか?