【第276話】経営に本物の成長発展をもたらす“唯一無二”の生み出し方
「お陰様で、今年の売上は昨対でプラス〇%になりそうです」と嬉しそうなご様子です。それもそのはずです。しばらく経営が停滞ぎみ、むしろ下降気味であった傾向を跳ね返し、上昇ムードへの空気感が漂い始めています。そして、数字もそれを裏付けるように伸び始めました。
同社では、一年程前から、自分たちは何者なのか…といった、商品の独自性、自社の強み、経営の本質部分をあぶり出そうともがき苦しみ続けてきました。
これはある意味、自分たちのことであると同時に、お客様へお届けするモノの本質、その“唯一無二”の部分を創り上げるという開発プロセスでもあります。
こういった苦しい中にあっても、その先に一筋の光を感じ取れるような過程を通じて、社長ご自身のお考えがクッキリハッキリしてきたことで、経営という生き物に新たな力が宿りつつあります。
当然のことながら、事業の経営というのは今を維持していくだけでも大変なことです。さらに成長発展を目指していくならば、その大変さはなおさらです。
新事業を立ち上げたい、新分野に進出したい、新商品・サービスを開発して販売を伸ばしたい…、こういった挑戦領域での取組みにあたって、その描いた未来を実現してくためには欠かせないことがあります。
それは、「自分たちで考える」と決めることです。
「えっ?」、「なに?」、「そんなこと?」といった声が聞こえできそうですが、これ、ホントです。
簡単そうにも聞こえるでしょうが、実のところ、これがとても難しいのです。
経営という世界にいて、これはハッキリと言えます。「一流は考え方を求め、二流はやり方を探す」ということです。もちろん、経営の実務を動かしていく訳ですから、最終的にはやり方も大切です。
実際、前述のプロジェクトでも、商品コンセプト、webサイト、通販サイト、パンフレット、パッケージ、販促イベント、価格…、こういったことの全てをリニューアルしています。
そういった際、「自分たちで考える」ということを予め決めていないとどうなるか…ということです。
まずありがちなのが、売れないのであれば売れるやり方・方法を探そうと、「どのネットショップ機能が良いですか?」、「ネットモールはアマゾンと楽天、どちらがいいですか?」、「動画って作った方がいいんでしょうか?」といった、やり方程度の議論に陥りがちです。
ちなみに、考えるという修行的な苦しさから途中で逃げ出すと、結果、エッジがきいているようでそうでもない、奇をてらいがちなアイデアしか出てきません。
なぜ、こういった中途半端なことが起こるのかといえば、それは、考えている最中に表面的なやり方に目がいってしまうからに他なりません。
そして、なぜ、やり方に目がいってしまうかといえば、「自分たちで考える」という意識、大切な第一ボタンがかかっていないことに起因するのです。
経営を伸ばす、高めるというのは、上手いやり方で一儲け…といったこととは対極にあります。よって、これはこれ、それはそれ…といった訳にはいかないのです。
難しい話をしているのではありません。自分で考えるから“唯一無二”の新たな市場領域が生まれるのです。やり方の上手さだけ競うのであれば、それは真っ赤っかな既存市場の中だけで戦っているのだということを、分かっておかなければなりません。
でも「自分たちで考える」ことが大切ということは分かったけど、どうすれば…、とお思いかもしれません。
そうであれば、「自分たちで考える」ことは、こう言い換えることができるかもしれません。それは、「先頭を行く気概を持つこと」です。やり方の上手さも大切ですが、それだけで本当の意味で成長発展を見出すことはできないと知っておくことが肝心です。
先頭を行く気概を持っていますか?
例え小さくても“唯一無二”の独自市場を創ろうとしていますか?