【第275話】お客様も悦ぶ独自化と勘違いなブランド化の違い

「12月は過去最高の月商になりました」との嬉しいお話がありました。プロジェクトを開始した3ヵ月前と比べて売上の全体で倍増、特に販売に力を入れた商品は数十倍という売れ行きとなりました。

 

商品は既にできあがっていて、1年ほど鳴かず飛ばずの状況が続いていたとのことで、販売拡大に向けたプロジェクトを始動しました。新しい商売が動き出す…、社長は、経営者として何ともいえない手ごたえを感じておられます。

 

しかし商売というのは面白いもので、こういった嬉しさと同時に複雑な気持ちが込み上げてきたりするものです。

 

「同じ商品を売ってきたのに、こんなにも違うのか」、「今までは何だったのか」と、良かれと思ってやってきたことに対して疑念が生まれたりと複雑です。

 

こうした際、大切なことは、ちょっと立ち止まって経験を整理しておくことです。物事が好転し始めた理由をノウハウ化することで、経営者としての思想能力をアップデートできるからです。

 

簡単そうにも聞こえますが、喉元過ぎれば何とやら…、実のところこれが難しいのです。このため、また…ということが起こります。

 

大切なことなので改めてお伝えすれば、何か上手くいき始めたならば、そのことの理屈、物事の構造、上手くいっている理由を、手段レベルではなくて考え方レベルで、しっかりと理解しようとすることが大切です。

 

これは、経営者脳を更新することであり、思考回路を組み替えながら経営神経を鍛え直し、経営者としてのご自身をアップデートしていくために大切なことです。

 

そういった思想能力のアップデートにおいて、特に「ブランド化」ということを勘違いされている経営者が後を絶ちません。思考回路自体に間違いがあるため、このまま頑張ったところで、結果は言うまでもありません。

 

その典型的な間違い方が、「ブランド化」を「イメージ化」と勘違いしているというものです。具体的なことを差し置いて、大義やポエムの世界に持ち込みがちです。

 

このため、商品を販売しようとした際、商品開発の背景を「物語化」してみたり、パッケージの「デザイン」をキレイにしてみたりといったことが起こります。

 

少し考えればお分かりいただけるものと思いますが、「商品開発の背景が素晴らしい」、「パッケージがカワイイ」…、商品自体が選ばれていない購買動機で本当に嬉しいでしょうか。

 

販売戦略の中核が物語化やパッケージデザイン、協賛金集めやジャケ買い狙い…、ということでは、本当に商品が選ばれて購入されていると言えるのでしょうか。

 

ブランドとは「区別」です。これは、どんな違いがあるのかということの印です。

 

このことに意識が及んでいれば、お客様にとってこの商品がどう違うのか…といったことをハッキリさせずに、ブランドを組み立てることなど不可能なことは明らかです。

 

そしてこれは、決してイメージといったことではなくて、ポエムの世界でもなくて、具体的なものでなければなりません。

 

これこそが、売りモノの中身なのです。さらに、この中身をご自身で考えていれば、そこから必ず独自の匂いが放たれるものです。

 

ただし、お客様ご購入いただく具体的な中身については、それを伝わる「言葉」にしていかなければなりません。

 

経営者が商品に賭けた想いを情熱的に物語化したところで、あるいはパッケージをキレイにしたところで、それはお客様にとって購入理由にはなり得ません。

 

中身ができていないのに、物語やデザインだけで伝わるはずがないのです。ご自身も分かっていないことをイメージだけで伝えようとしたところで、それはムリというものです。

 

イメージを整えるための物語やパッケージ…よりも、まずはその核となる売りモノの中身を独自性が匂い立つところまで煮込む意識が大切です。

 

独自性が匂い立つところまで中身を煮込んでいますか?

真向勝負を避けて雰囲気だけのイメージに逃げていませんか?

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