【第260話】ビジネスを豊かに成長発展させる“新しい”の生み出し方

「よくここまで頑張りましたね」とは、商談会にいらっしゃったお客様からの一言です。お客様自身が経営者ということもあり、このようなお褒めの言葉を頂戴しました。そして、この新商品・新企画を購入の方向でご検討いただくこととなりました。

 

一方、新事業のアイデアをお聞きする中で、「〇〇国で知られているこの商品、日本にはまだないんです」、「これからはAIの時代だから弊社も取り組んでいこうと思います」、「上手くいっている先輩がいるので、教えてもらいながら私もやろうと思うんです」といった文脈を耳にすることがあります。

 

みなさまもお感じのことと思いますが、大変前向きな発言にありながらも、経営者として、ビジネスに向かう姿勢として、何か根本的に欠けています。

 

その前に、新事業、新製品、新サービス、この“新”というのは、今までになかった、知られてなかった、できて間もない、今日的…といったことです。

 

これをビジネスの視点から見れば、新しさには2つの種類があることが分かります。それは、「まだ知られていない」と「まだ誰も届いていない」です。

 

新事業を構築し経営に新たな展開をもたらそうと考えた場合、アイデアに詰まるとどうしても「どこかに在るアイデア」を引っ張ってこようとしてしまいがちです。

 

もちろん、全くのゼロからビジネスを考案すべき…などとお伝えしているのではありません。実体ビジネスに身を置く者として、それは時間的にも予算的にも現実的ではありません。

 

基礎研究のレベルは、そういった役割の方々にお任せして、我々はそれをお客様のために応用して、世の中に役に立てていくことを考えるのが先決ではありませんか…とお伝えしています。

 

いずれにしても、“新しい”とは、どこまでを先人の知恵に頼り、どこからが自力で生み出したものなのか…という意識上の線引きの問題でしかないといえば、そのとおりです。

 

だからこそ、この線引きをしっかりと自分たちの意志として意図的に設定し、その線引きを超えていくことが大切なのです。これこそが挑戦の中身、つまり自分たちで掲げた目標を超えて、理想を目指していくための創意工夫だということです。

 

このような整理を進めたうえで、あらためて“新しい”ということについて考えてみると、新事業、新製品、新サービスというのは、「まだ知られていない」ことを御社が知って、そのままビジネスにするということではないということです。それは御社にとって“新しい”だけであって、世の中として新しくないのです。

 

先述の発言に根本的に欠けているのは、このことです。つまり、既に在るものを導入・転売する意識しかなく、その先をご自身で進歩発展させようとする意識がないために、独自性を欠くビジネスアイデアとなってしまっているのです。

 

では、そういったアイデアを今一歩、さらに進めて、御社らしいビジネスに仕上げていくかということを考えたならば、絶対的に必要なことがあります。

 

それは、「まだ誰も届いていない」、いわば未踏領域まで行ってみようとすることであり、そのために必要なのが「先頭を行こうとする覚悟」です。

 

技術、商品、提供の仕方…、ビジネスのどこかのレイヤーにおいて、独自に進歩発展させた未踏領域に踏み込むことで、初めて“新”と呼べるビジネスに仕上がるのです。

 

そういった意味では、Only1よりもNo.1が近い感覚であり、気持ちの問題ではなくて、客観的事実としてお客様から“新しい”と認知いただけるだけの「開発要素」が欠かせません。

 

この「開発要素」の存在こそが、お客様から選ばれる理由ですし、この存在があるからこそ、そこに尊敬が生まれ、尊敬が利益を生むのです。

 

経営は投資です。先行投資、開発努力に対するリターンが利益です。利益とはリターンであり、単純に売上から費用を引いたものではないのです。経営者であるならば、この努力投資に賭けていくことが大切です。

 

新事業、新製品、新サービスで独自路線の成長発展を描こうとするならば、まずは「先頭を行く」覚悟を決めてはいかがでしょうか。

 

御社の新事業は、先頭に立っていますか?

未踏の開発要素で“新しい”が匂っていますか?

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