【第142話】事業を発展させる“計画”の本質
経営者の仕事は「考えること」だということについて、異論を唱える方は少ないでしょう。
だからこそ、誰かに「考えてない」などと言われたならば、「私はしっかり考えているよ」とハラワタ煮えくり返りながら、言いたい気持ちになることでしょう。
ところが、経営者の仕事は「考えるだけ」でもありません。当然のことながら「知の巨人」になることが目的ではなく、実体としてのビジネスを動かしていかなければなりません。
そもそも「何にも考えてない人」などいません。そうなのですが、多くの事業“計画”をお聞きする中で、残念ながらやはり「考えてない“計画”」を耳にします。そして、それは聞けばすぐに分かります。
「何にも考えていない」人などいないはずなのに、「考えていない」と思われるというのは、一体どういったことなのでしょうか?
ここに“計画”の本質があります。
例えば、多くの間違いが数字です。「事業“計画”」と聞くと、多くの経営者が「数字の書いてあるアノ紙」を連想します。
これは、この「事業“計画”」という名前が、資金を調達したり、借入した資金が返せなくなったりした時に、銀行から提出を求められるからです。
こういった事実から、「事業“計画”=数字」という感じになってしまっていますが、数字があることと、それが本当に「考えられた“計画”」であることは、イコールではありません。
あるいは、やるべき事柄、いわゆるアクションプランがToDoリストのように盛り込まれている“計画”も、「考えられている」のとは違います。
それはやるべき事柄を知っているというだけで、それを全部やったからといって、必ずしも商売が繁盛するとは限らないことだと、しっかり心しておくことが大切です。
みなさま経営者なのです。我々はビジネスを世に企んでいくのが仕事です。そして、その商売を繁盛させていくことを目指しています。
そうなのですから、“計画”とは、それを聞けば繁盛が感じられる独自の「世界観」が広がるものでなければなりません。
大切なことなので補足すれば、準備や手続き…といったやるべき事柄について、全てクリアできる見通しが整っていることや、一定の根拠に基づいて数字が試算されていたとしても、繁盛につながる「世界観」が“計画”から感じられなければ、それは紙の上の単なるお遊びに過ぎないということなのです。
勘の良いみなさまなら、すでにお気付きになっていると思いますが、“計画”には深さがあります。つまり、“計画”のクオリティとは「深さ」による尺度ということです。
“計画”が深く考え込まれていけば、いずれアクションレベルを脱し、思想レベルにまで到達していきます。そこまで深めてまとめられていたならば、自ずと繁盛につながる「世界感」が生まれてきます。
残念ながら多くの“計画”が、アクションプランレベルで終わってしまっています。だから、数字の根拠性も乏しい。
「考え」が深まっていけば、自ずと繁盛を感じることができるほどの独自の「世界観」へとつながっていきます。
「世界感」の方こそビジネスの実体であり、具体的な数字の方は、その実体を写像したものに過ぎません。
“計画”の本質とは、繁盛感あふれる御社独自の「世界観」づくりであり、このイメージこそ、「考える」ことでしか創り上げていくことができない大切な“計画”の本質部分なのです。
「考える」ということを深さで捉えていますか?
御社の“計画”は独自の「世界観」を醸し出していますか?