【第439話】存続発展戦略は分析よりも人生観
「いゃ~、〇〇のセミナーを聞きに行ってきたんですが、全然、面白くなくて」と社長。とても勉強好きな方、セミナーや読書など、好奇心が止みません。
セミナーの資料を拝見したところ…。なるほど、これは面白くはない。ですが、間違ってはいない。そんな感じの内容です。
こちらのセミナー、昨今の経済状況などを分析して、それらを根拠に今後の経営が目指すところを解説されています。
経済状況などを相当に分析されていますので、統計的に有意であり、そこから導き出されたことというのは、確かに正しいと言えるでしょう。
ただし、経営において大切なことというのは、経営はそれぞれが違い、それが違うことによって異なるお客様にお応えしている…という事実です。
そもそも、経営の違いや商品サービスの違いとは、統計上、他社や他商品と同じにならないよう、創意工夫を凝らそうとしているのです。
こうした意味で、徒手空拳、体一つで創業してきたような経営者からすれば、こうしたマクロ経済的な“統計だけ”を見せられたところで、「でしょうね」となってしまうのは良く分かります。
当然のことながら、ビジネス、商売を続けていこうとするならば、経済状況、市場トレンド、技術革新…といったことは大切です。
ただし、こうしたことを分析したところで、その全体が自社の顧客像と一致するとは限りません。
実際、テクノロジーが進展すると、その新たなテクノロジーが新たな市場を生み出す反面、そうした新たなテクノロジーが不得意とするところにも新たな市場が生まれるものです。
それならば、統計的に正しい、その反対側にもビジネスチャンスがあることになります。
特に、中小企業、ニッチ市場、自社が存続発展するにあたって十分な市場規模が見込めるならば、なおさら「そっちじゃない」、「面白くない」と心が叫ぶのは、当然、理解できることです。
経営の存続発展、成長戦略といったことを考えるにあたって大切なことは、こうしたマクロ経済、経済統計、産業統計…といったことに、そのまま従うことではありません。
こうしたことは真摯に参照しつつ、統計をご自身の視点から見ようと、まず思うことです。
本当に大切なことは、こうした数字に現れていることの背景に想いを馳せることであり、そこに潜んでいる統計トレンドとは“逆”の動きがあります。
こうした経営意識こそ、経営者の闘魂の現れなのです。
経営とは、経営者の考え方で形作られるものです。会社とは法律上の人格であり、この世の中で最もバーチャルな存在です。
こうしたバーチャルな存在に命を吹き込むのが経営者であり、だからこそ“違い”が生まれ、その違いによって生かされるのです。
これが、統計的に平均像で丸くなってしまったならば、その存続発展の道は閉ざされることになってしまいます。
経営者に大切なのは、ご自身の道、そこを歩み続けることに挑戦する意識です。歩み続けた結果が成功と呼ばれることです。
既に顕在化した統計などに便乗してはなりません。それはご自身で考えることを放棄したに等しいことです。経営の舵取りはご自身の人生観で進んでいくべきことです。
様々な情報を収集することは大切ですが、そうした情報を踏まえて、ご自身の人生観を達成していこうとする心意気が重要です。
心の様相が戦っているか…、どんな人間になろうと挑んでいるか…。
ご自身らしい歩みを進めませんか?
経済全体よりもご自身の市場に存続発展を見出しませんか?