【第351話】経営がコピペを超えてオリジナルにまで届くための煮込み方

「この際、思い切った業種転換を視野に新事業を検討しているので、お手伝いいただけませんか…」と、以前からお付き合いのあった経営者からご連絡がありました。

 

もちろん、まずはすぐに議論の整理を兼ねて、出張セミナーということで、お打合せさせていただきました。

 

こちらの会社、歴史あるモノづくりの企業だけあって、新事業がとても具体的に検討されていました。市場調査などを含めて新たな事業内容が計画書として文面に落とし込まれているため、議論もより深く進めることができました。

 

ここでの議論の結果、どうなったかといえば、この新事業に進んでしまうことによって失うかもしれない別の可能性について触れた上で、進めてみるのもよろしいのではないでしょうかということでした。

 

ただし、今の状態では、まだ煮込み不足…という条件もお伝えしました。

 

当然のことながら、新事業の構築検討には深さ、煮込みの程度があります。この煮込み具合とは、新事業を打ち出す“高さ”といった方が分かりやすいかもしれません。

 

低い高さで打ち出してしまうと、ちょっとの失速ですぐに地面、墜落…ということになってしまうため、なるべく高いところから打ち出したいというのが新事業を計画することの意図でもあります。

 

この新事業検討、どこまでアイデアを煮込めば良いのかといえば、オリジナルと呼べるところまで煮込みたいということです。

 

これは、「勉強しました」というコピペ止まりの低さで走り出してしまうのか。もう少し煮込んで、「勉強してみてその先が見えました」という高さまで行ってから打ち出すのかという違いです。

 

不思議なことに、この違いは外部から見て良く分からないほどの違いではあるのですが、この違いをお客様は嗅ぎ分け、それが新事業の成否を分かちます。

 

 

ここでお勉強とは「やり方」レベルの話です。やり方だから学ぶことができ、コピペが可能です。「〇〇を作れるようになりました」はまだコピペのレベルであり、本当の意味で新事業にはなっていません。

 

では、目指すべき煮込み具合、新事業と呼べるオリジナルとは何かといえば、そこには明確な一線が存在します。

 

それは、「考え方」として新事業が語れるレベルにあるかということです。新しい事業とは、「やり方」レベルの議論ではなくて「考え方」の更新に他なりません。

 

大切なことなのでもう少し補足すれば、「やり方」レベルの議論は、決して新事業などではなくて、それは「業務改善」と呼ぶべき範疇だということです。

 

オリジナルにたどり着くとは、「考え方」を更新して進歩発展することであり、それは、経営者ご自身の価値感を変えていくことでもあります。

 

基礎となる「やり方」の修得を通じて、その心に触れ、それをご自身の体や頭を経て、もう一度表現し直すことで、オリジナルと呼べる領域に到達したことになります。

 

ある意味、オリジナルも出発点はコピペではあるのですが、それがご自身という経営者の生身、唯一無二の存在を通じて変換されたことでオリジナルに到達します。

 

大切な点は、事業経営において“オリジナル”とは「やり方」レベルの議論ではなくて「考え方」レベルだということです。

 

このオリジナル領域に達するためには、経営者が「考える」というプロセスを経ることが不可欠であり、ここを経ない限り、新しい価値といったことが世の中にもたらされることはないのです。

 

経営者の思考的努力が新たな事業を生み出します。「やり方」を勉強するといった行動的な努力はあくまでも“お勉強”であり、新事業とは、その“お勉強”が生身の経営者の頭と体を通じで転換されることでオリジナルと呼べる煮込みに到達します。

 

“新しい”を生み出すために、一旦、ご自身の中を通す覚悟をしていますか?

「やり方」ではなく「考え方」でオリジナルを目指していますか?

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