【第287話】困難にあって未来を仕込む判断のポイント
「何が正解なのか…、いよいよ分からなくなってきました」と友人の社長。人類が直面したことのない困難にあって、あまりの状況変化のスピードに、先週までの常識が今週の非常識になっていたりします。
今後しばらく、経営者はギリギリの判断を迫られる日々が続いていきます。そんな状況にあって、どれだけ考えても答えなどないことに対して、どのように判断していくのか。そんな中であっても、この判断がこの先の未来を決定づけていくことは事実です。
こういった肝心なことであるにも関わらず、分からないからといって、判断をどこか人任せにする風潮があることを危惧しています。
当然のことながら、国や自治体の要請や指示に従うことは国民・住民の前提として、自社のことについては、他人任せ、みんなに従います…という訳にはいきません。
まずは、とても不安な気持ち、フワフワした気持ちを抑え、地に足をつけていただくために、経済・経営という視点から少しだけ安心材料をお伝えします。
それは、経済が落ち込むというのは、社会経済全体の効率が落ちるということであって、少なくとも実体経済において「仕事がなくなる」ということではないということです。
少し考えていただけばお分かりいただけるものと思いますが、この新型ウィルスによって、世の中としてやるべきこと、仕事はむしろ限りなく増えるということです。
仕事とは自分の能力を他者や世の中に活かす手段です。これによって自分も生かされるというのは原因結果の絶対法則です。少し厳しい言い方かもしれませんが、仕事がなくなる…という発想は、いわば労働者発想と言わざるを得ないことです。
いつの時代も、経営者の仕事の根本は「どうやって仕事を創るか」です。
そうであれば、今、我々が考えなければならないのは、来るべき世の中の変化、新たな未来に対して、自社の持つ技術・能力、従業員、設備…といったことを、どのように応用し、役立てていくのかを考えることです。
これこそが、経営者発想の根本であり、経営者が経営者たる所以です。既存事業の運営マネジメントとは求められる気概の根本が異なるのです。
では、こういったギリギリの判断にあって、どうすればこれを間違わずに進めて行くことができるかといえば、大切なポイントがあります。
まず、「感情論ではなく筋論で判断する」ことです。
とかく、人は「それはイヤだ」といった感情が論理に先立ちます。なぜ、大きな判断にあって感情で判断すると間違うのでしょうか。
その理由はとてもシンプルです。イヤなコト、やりたくないこと、恐怖感から逃げているだけに過ぎないからです。
経営者であるならば、こう在りたいという理想に向かっているならば、イヤなことでも笑いながら一緒に飲み込む気概が大切です。
そして、その判断を「自分で考える」ことです。
みんなで協力して…といったことで足並みを揃えた行動をお見掛けしますが、これはとても危険です。なぜならば、恐怖心から逃げるために思考停止状態で足並みを揃えてしまえばどうなるか…、ということです。みんな一緒に沈むだけなのは明らかです。
みんなで考えて「判断」という文脈は、解釈が重要です。正しくは、経営者は自分で考えなければならない、そのためにみんなの知恵を集めるという主従関係が大切です。
そして、最後に最も大切なのが「自分から飛び込む」ということです。
筋論で考えて、行くべきと自分で判断したならば、誰かに背中を押されるようなことを待たず、怖くても自ら進んで荒海に飛び込んでいく意識が大切です
困難な局面、感性的な悩みを抑えながら、強い判断で未来を切り拓いていただきたいと切に願います。
感情論ではなく筋論で判断しようとしていますか?
自分で考えて、まだ見えぬ未来に自ら飛び込もうとしていますか?