【第232話】収益性を高める行動力の絶対条件

「昨年度と比べて約2割増の販売実績になりました」とのメッセージが、プロジェクトに参加している担当者さんから届きました。

 

大変歴史ある素晴らしい商品をお持ちの企業で、販売拡大を目指してキャンペーンのやり方を変えテスト運用を実施して、その結果が出たのです。

 

スタッフの方も献身的に、しかも自律的に努力されていたことから、良い結果が出るであろうことは想像していたのですが…。しかし、こうした試行というのは、商売には時の運もあり、いくら考えて事前に準備したとしても、結果が出てみなければ分からないところがあります。

 

当然のことながら、何事もやってみなければ分かりません。やったからその結果が現れるのですから、やらなければ、何らかの結果が得られるはずがありません。

 

そういった意味では、よく耳にする「やってみなければ分からない」は、まさに仰るとおりであり、経営者に絶対的に求められる特性ではあります。しかし、経営者の「やってみる」という意思決定には、極めて大きな“程度問題”があるということを忘れてはなりません。

 

例えば、前人未到の新製品開発、転売しにくい設備の購入、博打的な大量採用…、このように、実現のハードルが高かったり、逆戻りしにくかったり、影響期間が長かったり、修正しにくかったりといったことは、やはり「やってみる」前のシミュレーション的な試行が不可欠です。

 

これは、ものづくりに例えるならば「設計」です。職人的に図面が無くても作れることは素晴らしいことです。しかし、未知の挑戦領域に踏み込むならば、世の中の知見として分かっているところは設計に反映して、分からないところはそれがどうなるかを事前に考えておくことが大切です。

 

これは、感覚的にもお分かりいただけるものと思います。「この飛行機は、エンジン出力、強度計算、気流抵抗…、こういった設計は何もしていませんが、経験による職人感覚で作り上げました」と言われて、この飛行機に乗りたいですか…、ということです。事前に求めるべき知恵が決定的に欠けていることを、お感じ頂けるのではないでしょうか。

 

実は、「やってみる」だけなら、それは簡単にできることです。「新事業を始めてみる」、「新サービスを始めてみる」、「お店を開いてみる」、「イベントを開催してみる」…。こういったことは、何となくカッコよく聞こえたとしても、その中身はといえば「とりあえず大学を受験してみる」と変わらないことで、受験料などの多少の初期コストがあればできてしまうことです。

 

難しいのは一定の目標達成、ビジネスとしての成果を生み出すことです。そうであるならば、大切なのはその前、いわば“準備”ということになります。

 

この“準備”というのがクセモノです。どうしても目に見える設備、店舗、道具、手続き…といった物理的な準備に偏りがちです。もう何となくお気づきのことと思いますが、例えば「お店を開く」というのは、立地を探して、店舗を改装して、什器を揃えて、商品を陳列して…、といったことではないということです。

 

経営の大切な部分は、目に見えないところにあります。この商品がここに並べてある理由、どんな価値を提供しているのか、経営者が目指しているところ…、こういった「思想」こそがビジネスの実態なのです。この「思想」が収益性を産み出すエンジンであり、それを実物の世界に写像したのが「店舗」ということなのです。

 

よって、「お店を開く」を「店舗デザイナー」にお任せしたところで、物理的にお店は出来上がったとしても、ビジネスができ上ったとは限らないということです。

 

こういった思想の設計・構築、世の中へのご提案に、お客様がどのように反応してくださるか、ご購入いただけるか…、そういったことを事前に考えることこそ“準備”の本質です。

 

ここでの行動力が、単に物理的な準備だけで終わると、思想、考え方で反省のしようがないため、結局、デザイン、陳列、看板、のれん、メニュー…、そういった日常業務レベルの反省しかできません。

 

こうした状態では、そこで得た結果が経験として積み上がらず単発になってしまいます。これでは勉強しないで受験するのと同じ…、行動した結果、「落ちる」ということが分かっただけで、いつまでたっても合格証は届きません。

 

御社の行動力は「考える」ことに向いていますか?

高収益に向けて「思想」レベルで事業を構築しようとしていますか?

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