【第226話】その「心配」を払拭して成長発展を歩むための具体策

独自の路線で堅実に成長されている流通業の社長は「お客様は本当に余計なモノを買わなくなった」と仰います。足りてる時代、待っているだけでは売れていかない時代です。

 

株価、GDP、消費者物価指数、鉱工業生産指数…、経済指標は悪くはなかったとしても、最前線の経営者であれば、成長どころか存続さえも…という厳しい認識をお持ちの方が多いようにお見受けします。

 

まあそうは言っても、地球全体でみれば人口は増えていますし、発展途上国に行けば、道路だってビルだってエネルギーインフラだって、まだまだ必要なことは明らかです。

 

IT通信技術などもまだまだ進歩発展していきますし、新宿を昼間に歩けば日本人よりも外国人の方が多いのでは…という状況ですから、3年後、5年後、10年後…と考えてみれば、世の中は変化に富んでおり、変化しているからこそ、そこに新たなチャンスが広がります。

 

いずれ変化は起こっていくものですから、そうであるならば、自らその変化に飛び込んで新たなチャンスをつかんでいく…、そういった進取の精神が経営者に大切であろうことはいうまでもありません。

 

ところで、そういった変化をにらんで、御社に「企画室」や「研究開発部」はありますか?

 

もし、こういった組織機能が無いとすると、御社は「請け型」のビジネスをしている可能性が高いでしょう。ビジネスの仕様をお客様側が握っていて、恐らく、価格の決定権もそうでしょう。

 

これ自体が問題だということではなくて、時代の流れとともに商流構造が変わっていくと、いずれ仕事が流れてこなくなる可能性があるという「心配」を抱えているということです。

 

あるいは、御社に「営業部」、あるいは「広報室」はありますでしょうか?

 

もし、こういった組織機能が無いとすると、御社は売る機能を他社に依存しているということであって、その他社次第で傾く可能性があるという「心配」を抱えています。

 

少し総括させていただきますと、どんなビジネスであっても独自性を保ちながら豊かに成長路線を歩んでいくためには、自社に、「考える」、「作る」、「売る」という三つの機能を兼ね揃えていることが大切です。これらの機能に多少のアンバランスがあったとしても、揃っていることが大切なのです。

 

昨今、かつて名声を誇った名門企業の苦戦を耳にすることが増えました。実際にお会いしてお話を聞けば、そこには共通するパターンがあります。

 

それは、良いモノを「作る」ことにしか意識がなくて、経営のこれからを「考える」ことや、他社に頼らず自力で「売る」ことに対する意識が欠如していることです。

 

こういった経営の問題は極めて深刻です。「良いモノを作る」ことは大切なのですが、「作る」にしか意識がないために、経営の考え方が「現場ノウハウ」のレベルに留まってしまっているからです。

 

世の中の変化に取り残されてしまう根本原因は、経営者の意識が現場レベルにしかないことによるものです。特に、その意識が自社内の「作る」、製造、品質、納期…にしかない場合です。

 

経営の根本はいつの時代も「顧客の創造」です。モノを作ることは経営の一部でしかありません。売上利益が落ちているからといって、原価改善のコスト低減策を指示したり、販売スタッフの尻を叩いても、内部への対応だけで現状が改善されていくことはありません。

 

その理由は、経営者の意識が「お客様」に向いていないからです。まずは商品と共に「お客様がその商品を買う理由」を考えなければなりませんし、それをお客様に説明する「販促ツール」として販売現場に提供してあげなければなりません。

 

要は、「心配」しているくらいなら、その対策を進めていこうとする意識と、それを実行していくために、永い目で考えて三つの機能を意図的に強化していくことが大切です。

 

具体策としては、兼務であっても「企画開発室」や「広報営業部」を組織図に配置しつつ、わずかであってもそこに活動予算を準備することをお勧めします。

 

御社の組織図に「考える」と「売る」はありますか?

「心配」しているくらいなら具体策を進めませんか?

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