【第54話】誰も教えてくれない大切な経営のルール
仕事を進める上で大切なコトというのは、なぜこれほどまでに“紙”の上に書かれていないのでしょうか。
経営者として、一人の社会人として、こんな事を感じられた方は、とても多いのではないかと思います。
本屋さんのビジネスコーナーには「経営」に関する著書があまた並んでいます。経営戦略論、マーケティング、会計、ファイナンス、情報システム、経済理論、労務管理、生産管理、店舗運営。。。
どれも読めばとても参考になりますし、先人達が莫大な時間を費やしてまとめ上げてきた知恵に触れることができ知的好奇心を刺激されます。
ところが、これらを実践できるかどうかというとまた別の問題で、全てを実践したからといって経営が改善するはずもありません。
元来、方法論とはそういうものであって、使い手次第で結果が変わってくるのは当然のことと言えます。
大抵の場合、コンサルティングのご依頼は「〇〇したいので、何とかして欲しい、手伝って欲しい」といった文脈です。
こういったお声がけで初回の面談を行い、コンサルティング計画をご提案させていただく流れになりますが、こんなシーンで稀に大きな違和感に出会う事があります。
それは簡単に言ってしまうと、この時点で「ダメだったら辞めよう感」を醸し出している場合があるのです。
経営コンサルタントを使うということは、社内リソースでの対応が一定の限界に達しているということです。ですから、外部の専門家を招聘している訳です。
よって、これでダメだったら諦めようという感情が生まれる素地があることも確かかもしれません。
しかし、どうでしょうか。考えてみていただきたいのですが、状況を改善したり、経営を向上させたりすることを考える時に「ダメ元でやってみよう」という姿勢が許されるでしょうか。
少なくとも何らかの打ち手を展開していかない限り、状況を変えていくことは困難なはずですが、その打ち手が「ダメ元?」では、既に経営とは呼べません。
「ダメだったら辞めよう感」は経営にとって百害あって一利なしの感情の持ち方です。
「やってみなはれ」の様に、先ずやってみることを推奨する考え方もありますが、これは、やるとなったら転んでもタダでは起きない、といった気概が前提にあります。
しっかりと考え、企て、「これしか無い」という打ち手までたどり着くことが重要です。
ダメ元思考を脱するために有効な考え方があります。それは「何があっても絶対に続ける」と先に決めることです。
一時的な撤退・縮小はあり得ます。傍から見れば辞めた様に見えるかもしれません。ですが、これで食っていくと決めてさえいれば、顧客層を変えたり、提供の仕方を工夫したり、規模を縮小したり、続けていくやり様はあるものです。例え限りなく小さくなったとしても完全に辞めるのとは意味が違います。
拙い経験ですが、「上手くいかなければ辞める」と考えている間に物事が好転することはなく、「続ける」と決めさえすれば遅かれ早かれ突破口が開けているように見えます。「続ける意志」こそが経営のルールなのかもしれません。
御社ではダメ元思考を許してしまっていませんか?
続けることに対する意識は揺らいでいませんか?