【第99話】新事業開発の成否を分かつゴールイメージの持ち方

「こんな製品を作ったのですが、どう思いますか、売れるでしょうか?」というご相談をお受けします。

 

こういったご相談の場合、製品・技術はある程度出来上がっているのですが、開発を進める段階で、なんとなく市場の反応が薄いと感じていらっしゃるのです。

 

つまり「こんなに良いモノなのに、何で顧客の反応がこんなに低いのでしょうか?」というのが、ご相談の本心なのです。

 

弊社はこういった場面を応援させていただいておりますので、このようなご相談は、「ようこそお越し下さいました」とお伝えしつつも、多分、社長殿が期待しているのではない返答をすることになります。

 

「売れるように仕上げれば売れるでしょうが、現時点ではまだ足りていません」と。

 

今の時代の新事業や新製品・新サービスの企画開発というのは、実は一昔前と企画開発の目標として設定すべき地点が大きく異なることに気付いておくことが大切です。

 

足りない時代、製品さえ作れれば、後は営業さんに任せて、売っていく時代だったといえます。

 

ですが、足りている時代、モノが足りているのですから、モノではない“何か”あるいはモノを通した“何か”を売らない限り、売れていく可能性は低いと言わざるを得ません。

 

もう少し補足すれば、企画開発の目標設定を「製品」のレベルに置いていては、例えその「製品」が著しく優れていたとしても、事業として成立・存続させていくことは相当に難しいということです。

 

今の時代の事業開発とは、その「製品」を通じてお客様がどういった「便益」を買うのかということまで企画開発しなければならなりません。

 

お客様はモノを買っているのではなくて、そのモノを通じて得られる「便益」を買っているのであり、「便益」の企画開発こそが目標として設定される必要があるのです。

 

「製品」の開発に留まっている。。。ということが本当に多いのです。その先にある「便益」の開発まで進めれば売れていたはずなのに消えていく。。。勿体ない以外の何物でもありません。

 

この目標設定を前提とすれば、製品の説明だけに終始して、その便益を説明せずにいるということは、「この製品は、こんなことも、あんなこともできます。後はお客様で考えてご自由にお使いください」と言っているに等しいということをお分かりいただけると思います。

 

そして、営業の際に、お客様から「勉強になりました」と言われる理由もお分かりいただけるはずです。

 

セールストークが、自社製品の説明に終始しており、聞いている側のお客様にとっての便益・メリットが伝わっていないから、そうなるのです。

 

相当に目新しい製品であれば、先ずは買ってみて何が出来るかを楽しむ。。。といったイノベーター気質な方のお買い上げも期待できるかもしれません。

 

ですが、大抵の新製品の場合、お客様が今既に持っている機能の更新や代替を狙っているということを踏まえれば、どうでしょうか。

 

製品機能の説明に留まらず、本製品が更新・代替にあたって価値ある理由まで説明できなければ、あえて買うという行動にまで及んで頂けないのは当然といえるでしょう。

 

お客様にとっては、製品からの直接的な「便益」のみならず、買う理由の全体が「便益」なのです。

 

お客様の「便益」を企画開発の目標に据えると、販売は自ずとお客様への“提案”というスタイルになっていきます。“押し売り”を“提案”スタイルに変えるのが難しいのは、実はこの企画開発の深さの違いに原因があるのです。

 

新事業の開発目標は、お客様の「便益」に設定されていますか?

御社からの情報発信は“提案”になっていますか?

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