【第77話】経営の成長発展に不可欠な“本業”意識の高め方

経営者、特に創業の社長殿からお話をお伺いしていて良く聞くフレーズです。

 

「なんで創業しちゃったかな。。。と思った時期もあった。」

 

サラリーマンであれば給与は振り込まれるものですが、社長になれば支払う側に。ですから給料日は直ぐにやってきます。

 

預貯金残高がジェットコースターの様に落ちてゆく現実を見て、夜中に起きて電卓を叩くこともあったことでしょう。社長業とは何とも難儀な役回りです。

 

ですが経営を伸ばされている社長殿は、むしろこういった状況を切り抜けてきたからこそ、できあがってきたのであろう独特の感覚をお持ちです。

 

それは、独自の“本業”感ともいえる事業領域に対する感覚です。勝てる領域に対する認識といえます。

 

苦心の中で考え抜いてきたものであり、大切に育ててきた「こだわり」です。そしてこの独特の感覚こそが収益性の源泉になっています。

 

ですから、企業というのは同じように見える業種・業態であってさえも、その中身や感覚は千差万別であって、必ず御社独自の事業領域があるものなのです。

 

この事業領域感をしっかりと持っていることはとても大切です。これが無いと、経営はあっというまに「根無し草」になってしまいます。

 

そうなってしまえば、どれだけ時間を費やしたとしても、御社独自の成長発展を積み上げていくことなどあり得ませんし、社長殿ご自身も何者かになっていくことなどできません。

 

一方で、経営を成長拡大させていくことを考えれば、この事業領域を拡大していくことに他なりませんから、この今の事業領域をどんな方向に掘って、深めていくのかということに取り組まざるを得ません。

 

事業領域の拡大を考えていくにあたり大切なのは、その起点を自社側に置くのか、市場側に置くのかという点です。

 

世の中の多くの失敗例は、市場側に起点を置いてしまったことに起因しています。いわゆる儲かりそうな仕事は無いか。。。と考えてしまう発想です。

 

マーケットのセグメンテーションやポジショニングは最終的に整えておく事は大切ですが、そこから始めてしまうと、まず間違いなく、飛び石を打ってしまうことにつながります。

 

折角、自社がこれまで育ててきた根っ子を切ってしまう事業に走ってしまうということです。根無し草経営の始まりです。

 

よくよく考えてみていただきたいのですが、利益、収益性とは、何らかの難易度によってもたらされます。つまり、根元的には自社の“能力”によっているのです。よって、収益性を向上させようと考えれば能力向上への努力は必要不可欠なのです。

 

ここでしっかりとお伝えしておきたいのは、事業領域の拡大検討にあたっては、起点を自社側に置く事を絶対視していただきたいということです。根無し草になって欲しくないのです。

 

この上で、将来性を確認しつつ、未来構想という時間軸を加えていくことで、独自の事業領域を設定していくことが大切です。

 

そういう意味で“本業”とは、自社の能力を起点として独自に見据えた市場としての事業領域といえます。この新たに設定した事業領域こそが御社独自の市場という訳です。

 

この事業領域意識の下で、製品・商品・サービスの開発を行っていけば、仮に単発で見れば鳴かず飛ばずであったとしても能力を高め、これらの打ち手が布石となって、着実に成長の階段を上っていくことができるのです。

 

御社の事業領域は、自社起点になっていますか?

御社の“本業”意識は時間と共に広がりつつも高まっていますか?

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