【第76話】企業が成長する際に放つ訴求力の本質

「精進料理」とは、食材ではなく考え方であるということは、あまり知られていないように思います。

 

永平寺の開祖、道元禅師が「典座教訓(てんぞきょうくん)」として、その考え方を著しています。

 

典座教訓では、典座(禅寺で食を司る役僧)の職務について理念や行動が示され、目指す理想を説いた上で三つの心得(三心)を解いています。

 

・喜心:喜びをもって職にあたる心

・老心:父母の子供に対するように相手を思う心

・大心:高く広く一切の偏りのない心

 

喜びを感じながら、食べる人に想いを馳せ、高い心で作る。精進料理とは食材や作り方などではなく、心であるということです。

 

どのような道から辿ろうとも、物事を全うしようとすれば、その本質というのは、似た姿をしているものなのかもしれません。

 

さて、典座教訓と同様、事業経営においても成長に導く上で最も大切なのは「考え方」です。同じような業種・業態であったとしても、考え方が違えばそれは全く異なる事業なのです。

 

弊社では、BtoCの商売であろうがBtoBの商売であろうが、「請負型」を脱却し「提案型」で行きましょう、とお伝えしています。

 

ここでいう「請負型」というのは、決して下請けという意味ではありません。あくまでも製品・商品・サービスの提供に対する考え方の違いを申し上げています。

 

ところが残念な事に、多くの企業で「提案」があまり上手ではない、という現実があります。そして、それはほぼ確実に収益性として現れます。

 

「請負型」のスタンスを長く続けてきた企業には、共通するある心理的な壁があります。この壁が、「提案型」への移行を阻害してしまうのです。

 

その心理的な壁とは「お客様の事は、お客様の方が良く知っている」と考えてしまうことです。こう考えてしまうことによって、とても残念なことが起こります。

 

商売の根本部分が、「お客様からのご要望に対応できるかどうか」になってしまうのです。

 

商売の意識がそうなってしまうとどうなるか。。。

 

お客様から御社に相談があった場合、できる・できない、ある・ない。。。という定型的な回答しかできなくなってしまいます。

 

勿論、全く対応不可能なことをできますと言ったり、できないことをできるかもしれないなどと、お客様の時間を無駄にする様な返答を推奨しているのではありません。

 

相談されているという何らかの専門性の立場から、お客様ご自身が把握しているご要望に応えられるか否かに留まらず、提供し得る結果について積極的に情報提供しましょうと申し上げているのです。

 

もう少し補足すれば、提案とは、御社が提供する製品・商品・サービスで、お客様にどうなって欲しいのか、をお伝えするものであって、自社の商品そのものを提案しているのではないということです。

 

更に付け加えるならば、御社の目指す未来像は、そういった提案を通じたお客様との取引によってしか実現していくことはできないのです。

 

企業が成長シーンで輝きを放つ訴求力とは、お客様が想定していたよりも、もう一段階上の提案に本質があります。

 

お客様が今望んでいることよりも、もう一段上の「本当にお客様のためになること」を提案しているのです。

 

御社は、「提案」を売っていますか?

御社が望む未来は、今の「提案」を続けていて実現できますか?

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