【第61話】新規事業を“開発”するという意味
新たな収益軸を打ち立てていくことは、経営を維持していくためにも成長発展を目指すためにも絶対的に不可欠です。
新規事業の“開発”に取り組み、拡充投資を行い、販売を拡大していく。そこで生まれた利益でまた拡大再生産のサイクルを回していく。
やり様はあるはずなので、そういった理想とする道筋を諦めて欲しくないと常々考えています。
コンサルティングのご相談をいただく時点というのは、これから準備を深めていく段階ですから、基本的にテーマがおぼろげながら見えているかどうかといった状況です。あるいは、望む方向性と言っても良いかもしれません。
ここから検討を深め修正を加えながら、営業開始に向けて準備を進めていくことになるのですが、ご相談いただいた時点の、社長殿の意識レベルは多様です。
これでは上手くいかないと感じることもあります。それは「こんな商品や方向性を考えているのですが、売れそうでしょうか?」というトーンでのご相談です。
こういったご質問、実は商品や事業の未来性について聞いているのではありません。もっと努力しても無駄になりはしないか?と聞いているのです。
努力を惜しみつつ、最小限の努力で最大限に手にできる果実は。。。とおっしゃっているのです。こんな腰の引けた意識から儲かる事業が生まれるはずがありません。
ただし、お気持ちは痛いほど良く分かります。こういったトーンでご相談される社長殿は、これまでにもいくつかトライしかけて、頓挫してきたことが伺えます。ですが、本当にやるべき事であれば、やる方法を考え貫かなければなりません。
新規に事業を“開発”するという意味は。。。
それは新たに売上を拡大し、“利益”を増やすことに対する決意です。社員のため、会社の未来のために「絶対にもっと儲ける」という叫びであって欲しいのです。
社長殿には「“利益”に対する必要な執着心」をしっかりと持って頂きたいのです。“利益”は経営の未来です。過去に厳しい経営状況を経験されている社長殿は、ほぼ間違いなく「“利益”に対する必要な執着心」をお持ちです。
ご相談頂く時点で最も大切な意識は「“やる”と決めている」ことです。しかし、ここで決めているというのは商品や提供方法といったことではありません。絶対に儲けてやるという“利益”に対する意識です。
1万円札を9,500円で買いませんか?と言えばそれは簡単に売れますよね、と常々申し上げています。売上を創ることよりも利益を創る方が難しいということをお分かりいただけると思います。
ですから新規に事業を“開発”するというのは、新たな売上よりもむしろその先にある“利益”に焦点を当てて考えていることが何と言っても大切なのです。
既にお伝えしたい事をお分かりいただけているかと思いますが、新規に事業を“開発”するとは、決して新商品を開発することでも、工場を新増設することでもありません。
世界中のサプライヤーと連携できる今日。端的に言えば、自社で設備を持たなくても、企画や設計さえあれば、大方どんな商品でも作れます。
会社だって、工場だって、お店だって、持つだけなら誰にでもできます。お金を使うだけなら誰にでもできるのです。
絶対にやると決めてさえいれば、お客様が欲しいと思えるような商品、投資効率的な生産体制、上手い販売方法といった“利益”を生むユニークな「手段」は不思議と見えてくるものです。
そして、この手段を模索し習得する過程で行った判断の積み上げが、強みを形成します。
決意を伴うためらいの無い努力は決して無駄になどなりません。必ずや強みとして積み上がり、どこかで“利益”を生み出すことにつながります。
御社の新規事業開発は“利益”に焦点を当てていますか?
絶対に“やる”と先に決めていますか?