【第514話】経営を伸ばす高める勉強法

「やはり、これからはジョブ型雇用になっていくんですかね…」と社長。

 

働くことの意識が、ご自身の所属するチームや部門、会社といった組織への貢献意欲といったことよりも、ご自身のスキルアップ、キャリア形成、所得増…に向いている以上、日本的なメンバーシップ型は薄れ、欧米的なジョブ型になっていくことはやむを得ないでしょう。

 

面白いのは、ついこの前まで仕事観の主題となっていた「働きやすい職場」は、もはや過去のものとなりつつあり、今はある意味で真逆の「成長できる仕事」になってきていたりします。

 

つまり、若者が抱いているのは、未知の社会的仕組みに対する不安であったり、ご自身の将来への不安であったりということですから、それにどう応えていくか…が求められています。

 

このように、時代のテーマというものは常に移ろい行くものですが、そうした流れは認識しつつも、その表面的なことに惑わされることなく、その本質的な部分に対応していくことが大切です。

 

少し話は逸れましたが、こちらの社長、とても勉強熱心な方で、いつお会いしても「この本、面白い」と今読んでいる本を紹介くださいます。

 

その本には、付箋が付き、アンダーラインが引かれ、お風呂などでも読まれているようで、新しいはずの本がふやけてボロボロになっていたりします。

 

そもそも論として、事業の経営がなぜ難しいかといえば、それは判断に必要な知恵や知識が広範に及ぶからです。

 

このため、経営者にとって勉強は必須ですし、その勉強で培われたことが、ほぼそのまま経営に反映されていくことになります。

 

つまり、社長の勉強法が、企業の未来を決定づけます。

 

実際、社長の思考は経営に如実に現れますし、事業モデルの基礎を成すこととなります。

例えば、思考が流通業的な社長の場合、売れそうなモノを探し、それをどう仕入れ、どう売るか…“売り方”を考える傾向があります。

 

あるいは、思考が製造業的な社長の場合、造れそうなモノを探し、それをどう設計し、どう造るか…“作り方”を考える傾向があります。

 

大切な点なので補足すれば、事業モデル構築にあたって、勉強したことを上手く使おうとするのか、勉強したことを応用しようとするのか…といったことで、売上利益を生むための着眼に違いが生まれます。

 

どちらも大切な経営アプローチではあるのですが、売上規模よりも利益性を重視したならば、採るべきアプローチは決まっています。

 

それは、前者(売り方)よりも後者(作り方)に軍配が上がるということです。

 

これは、現在の御社の商売が流通業なのか製造業なのかといった産業分類的なことをお伝えしているのではありません。

 

あくまでも、売上利益、成長発展を考えていく上で、得意な思考的な傾向、クセがある…ということをお伝えしています。

 

足りている時代です。そうした中で新たな需要を起こしていこうと目指すならば、上手くやるための勉強、他者と同じレール上を上手く渡っていく…といった意識が不十分なことは明らかです。

 

もう一歩、根本に立ち返り、応用のための勉強、自社独自のレールを敷く…意識が大切です。

 

言い換えるならば、経営者の勉強は、自分で考えるためのヒント探しです。自らが出題者となり、そこに独自の解答を導き出そうとするための勉強です。

 

もっと上手くやろう…と勉強し、良さげな“やり方”を見つけて乗ってみた…といった近視眼的な取組みは、むしろ現状を悪化させ、取り返しのつかない結果を生んでしまう可能性が高いと心得ておきましょう。

 

やり方レベル、正解探しの勉強になっていませんか?

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