【第465話】新商品とは何を企画するのか!?
「やっと完成したと思えるようになりました、なんせ売れ始めたので…」と社長。
こちらの新商品、とても面白い新商品なのですが、発売当初、なかなか売れず苦戦が続きました。
当時、渾身お伝えしていたのは、新商品の販売拡大というのは、それに相応しい市場への入口が必ずどこかにあるということです。
そして、その入口を探し当てるまでに10年を要した今や誰もが知る商品のこと。売上200億円に上る商品の販売開始当時のこと…、こうした先人たちの努力の歴史をお伝えしながら、その入口を求め続けました。
そしてついに、その入口を切り拓いたことで、やっとこれまでの努力が実を結び始めたと感じることができるところまできました。
そもそも、新商品を創るにあたって、その取り組み当初からその先を分かって始められることなど稀です。
実際、着手時点で計画はするものの、その先々で軌道修正に迫られながら必死で漕いで、漂流するかの如く、新商品企画は今のところにたどり着きます。
これはある意味、たどり着いたところが、現時点での限界点であり、それを新商品の完成…と見なさないかぎり、その先に進めないことになります。
ですから、まずはこの時点で新商品を完成とみなして、販売を始めることになります。
ですが、売れない。あるいは、売れたとしてもボチボチ…ということが起こり得ます。
良い商品なのに売れない、それは良さが伝わっていないから、では広告で…といった盲目的で短絡的な行動が、可能性ある新商品の末路を閉ざしていきます。
こうした状態の時、最も考えなければならないのは、商売とは商品を購入するお客様があって初めて成り立つということです。
これは、新事業の定義が「新商品×新市場」であることを思い起こせば、ですよね…と笑える話です。
大切なことなので改めてお伝えすれば、新商品の企画とは、それが新たな市場、新たな需要、新たな顧客を生み出すことで成立するということです。
新商品が物理的に完成していたとしても、お客様側で、新たなメリット、新たな使い方、新たな楽しみ方…といったことが伴っていなかったとすれば、それは物理的に新商品であったとしてもビジネスとしては未完成なのです。
そうであれば、新商品の企画をもう一歩進めて、お客様への応用や用途へと深めて考えてみる必要がありそうです。
あるいは、自社の能力的に新商品の企画がそこでもう限界であったとするならば、その新商品レベルが新たにお客様にもたらす価値を何とか見出すしかありません。
これを逆から見れば、新商品の販売機会の拡大は、新商品が新しいというだけで決まるものではなくて、そういうのがあったかとお客様側が気付かされることで生まれる新市場によってもたらされるものです。
実のところ、限られた技術力やリソースで新商品を企画していこうとするならば、新商品自体の創意工夫も大切ながら、むしろどんな市場、顧客、ニーズ・ウォンツに応えていくのか…といった用途開発的な市場創造的な発想が両輪です。
そもそも、ビジネスにおける技術開発とは、技術や能力を世のため人のために使うことを目指した応用研究です。
その実践者が経営者です。経営者こそ優れた研究者なのです。ビジネスを通じて人を育て、それによって人類の進歩発展を担っています。
新商品は新市場を切り拓くことで“新しい”というこの両輪に意識を持つことが大切です。
その新商品はどんな新市場を生み出そうとしていますか?
新商品企画はお客様を見据えていますか?