【第466話】社長が掲げるのは正義よりも理想がよろしい理由

「そういうものなのかと思っていただけで、その違いなど考えてもみませんでした」と社長。

 

カイシャとは、法人。法律上、認められた人格…です。つまり、法律上のバーチャルな存在です。

 

ここでなぜこうしたバーチャルな存在が、人々にとって大きな存在となり得るのか。そこには大切な本質があります。

 

それは、カイシャとは意を共にするチーム単位であるということです。

 

こうしたカイシャの存在意義は、経営理念、経営哲学、社是…といったことでチームが共有すべき意義が表されます。

 

アメリカの経営学者バーナードは「組織の三要素」として、共通目的、貢献意欲、コミュニケーションを挙げています。

 

面白いことに、ビジネスでドライな印象のある欧米的な経営で、こうした要素が挙げられているのです。

 

例えば、サッカーチームに「オレはゴールだけが目標じゃないと思うんだ」という人は必要ないことは言うまでもありません。

 

サッカーをやる以上、それはチームの前提として共有すべき目標です。ただし、それだけが目的ではない…ということは理解できることです。

 

つまり、その目的を目指すための目標設定の仕方がチームカラーであり、そこに色が現れてきます。

 

日々の仕事に意味を与えるのが経営目的であるならば、この目的の持ち方は、チーム運営上、極めて大切なことであることは言うまでもありません。

 

そして、それを決めるのは社長だということです。

 

逆から見れば、社長の目的意識次第で、経営はほとんど決まってしまうということです。

 

こうしたとても大切なことなのに、経営目的を自分で考えず外から持ってきてしまうという失敗が目立ちます。

 

その失敗傾向は、特に東日本大震災以降、劇的に増えていましたが、昨今、嬉しいことにこうした間違いが修正される傾向が見えてきました。

 

その間違い方に共通するのは“正義感”です。

 

世の中、こんなことがあってはならない。こうした社会課題は解決すべきだ。世の中はこうあるべきだ。

 

こうした正義感からくる経営目的というのは、一見、素晴らしいように見えるのですが、「悪くない世界」を目指してしまっているという点で残念な目的意識です。

 

本当に世の中の進歩発展を願うならば、掲げるべきは“理想”であり、そうした未来への光明なはずです。

 

進歩発展に向けて物事は変わっていくものであり、その変化の担い手が経営者であるならば、掲げるべきは誰かが掲げた“正義”に賛同することではなく、ご自身の言葉で語る“理想”だということです。

 

他人の掲げた“正義”への賛同で経営目的を語る経営者には共通するところがあります。

 

それは、正義という大きな市場で安定を求めようとしている…ということです。安定と引き換えに、他人の正義に賛同する…。経営者スピリッツとしてとても残念なことです。

 

どうせ事業経営など、不安定なのです。だからこそ、ご自身で掲げた理想、未来を目指すことが大切であり、その経営目的でチームカラーを作っていくことが大切です。

 

ご自身で理想を語りチームを育てる。決して他人の船に乗ろうとしてはなりません。

 

経営目的はご自身の言葉になっていますか?

それは正義ではなく理想で語れていますか?

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