【第461話】新商品を完成させるコンセプトメイクの実務

「やっと完成したと思えるようになりました」と社長。渾身の新商品、鳴かず飛ばずの状況が続いていましたが、テコ入れが功を奏し、販売が伸び始めました。

 

何にテコ入れしたかと言えば、“商品コンセプト”です。

 

商品コンセプトに立ち戻って、商品を再定義し、WEBサイト、営業トーク、梱包パッケージなど、ほぼ全体を作りなおしたことで、お客様の反応を得ることができるようになってきました。

 

ビジネスの世界で生きていれば、しばしば「◯◯の概念が変わった」といったことを耳にすることがあるでしょう。

 

これが正にコンセプトメイクに成功したといえる状況であり、ビジネスの開発者としてお客様から頂く最高の誉め言葉です。

 

では、お客様から「〇〇の概念が変わった」と、新商品を新しいと認めていただくためには、どのようなコンセプトを設定すれば良いのでしょうか。

 

そこには、実にシンプルな法則があります。

 

ところで、新商品、新事業といったことを企画していくにあたって、新しさを生み出していく…というのはどういうことなのでしょうか。

 

商品コンセプト…商売の成否を分かつ大切なことであるにも関わらず、巷には実に多くの誤用が蔓延しています。

 

改めて説明するまでもなく商品の「コンセプト」とは“概念”のことです。

 

つまり、その商品は「どのような概念を体現したものなのか」ということであり、商品の背景にある思想、主義主張、考え方…といったことです。

 

誤用の多くは、「どんな思想でコレを作ったか」を説明するに留まってしまっている場合です。

 

例えば、世界最小、最軽量、最速…といったことです。

 

こうした商品コンセプトというのは、新商品の概念を説明しているという点で確かにコンセプトではあるのですが、これらは“開発コンセプト”と呼ぶべきことです。

 

要は、ビジネスとしてのコンセプトに仕上がっていないのです。つまり、商売としてはあまり役に立たず「無いよりはマシ」というレベルだということです。

 

では、商売繁盛をもたらすような新商品コンセプトというのは、どのように生み出せばよいのでしょうか。

 

その答えは自ずと明らかです。当然のことながら、ビジネスというのはお客様活動だということです。

 

その新商品がお客様にとってどのように嬉しいのか…、そうしたお客様の使用価値を提供するために、どのような商品価値を目指して作ったものなのか…、こうした概念を説明するものでなければなりません。

 

新商品を“完成”させようとすれば、物理的に完成させただけでは不十分です。その新商品の開発にあたって思想的に完成していることが求められているということなのです。

 

新商品の思想的部分、これが商売における新商品のコンセプトの正体です。

 

ただし、思想的…というのは「作り手の想い」といったことではありません。新商品が新しいと呼べるような新機軸が語られていることが大切です。

 

実務的には、当該商品分野で新しいジャンルやカテゴリーを生み出すことができれば、大抵の場合、それはビジネスとして優れたコンセプトと呼べるものである可能性が高いでしょう。

 

例えば、油が健康に悪いとされている中で「健康油」といった新ジャンル設定は、ビジネスとして優れたコンセプトと呼べることです。

 

新商品は思想的な完成を目指していますか?

想い…とは違う具体的な意思をコンセプトにしていますか?

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