【第460話】経営に本物の成長発展をもたらす付加価値の原則

「これからもっと商品の認知度を上げて、付加価値を高めていきたいと思っています」と社長。新商品の販売拡大に向けて、認知度の向上に賭けていこうと意欲にあふれておられます。

 

ここで、認知度の向上がどのようにして付加価値を高めていくことにつながるのか…、その文脈に???とお感じになった方、流石です。

 

こちらの社長の頭の中をもう少し詳しくひも解いていくならば、次のようなことをギューッと短縮されてお話されていることが理解できます。

 

商品の認知度が上がればもっと売れる。もっと売れれば利益が出るようになる…、ということです。

 

この文脈自体、間違ってはいません。売れた粗利から固定を回収して、固定費の回収が終わって損益分岐点を超えれば、そこから先の粗利は利益として積み上がっていくことになるからです。

 

つまり、こちらの社長、結果的に出た利益のことを“付加価値”とお考えだということです。

 

付加価値…という言葉をネットで調べていただければ、加算法(日銀方式)と控除法(中小企業方式)といった算定方法が出てくるでしょう。

 

「加算法」とは、結果として出た経常利益に人件費、減価償却費、賃借料、支払金利といった固定費的な経費を足し戻すことで、結果としての経常利益から付加価値を逆算する方式です。

 

一方、「控除法」とは、付加価値を売上高から外部購入費を引いて算出する方式です。ここで外部購入費とは、仕入れた材料費、機械設備の減価償却費や修繕費など外部から購入したものに要した費用のことです。

 

これをもう少しザックリと解釈すれば、控除法による付加価値とは“粗利”に近い概念ということができます。

 

こうした算出法を整理した上で考えてみたならば、前述の社長は付加価値を「加算法」で考えているということができます。

 

大切な点なのでもう少し補足すれば、加算法は、結果として集計された経常利益から付加価値が逆算されているという意味で、付加価値が売れた“量”の結果に拠っていることがわかります。

 

一方、控除法は、売上からそれに要した経費を引くことで付加価値を算出しているという意味で、そもそもの付加価値、粗利を直接的に求めようとしています。

 

それぞれの算出法、付加価値の考え方に一長一短があることを理解した上で、経営者にとってどちらが大切な付加価値の考え方なのかといえば答えは明らかです。

 

それは、「控除法」です。

 

もっと言えば、付加価値を高めるというのは、販売の“量”から生み出されるものではなくて、商品力が生み出す“質”的なことだということです。

 

控除法、付加価値=売価-材料費という直接原価方式の考え方が大切です。材料を仕入れて、それに手を加えて商品としていくらで販売できるかによる粗利の大きさです。

 

付加価値を上げるというのは、販売量を伸ばすことによってもたらされるのではなくて、材料にどのように手を加えるのかという創意工夫によるものだということです。

 

加算法による経営意識の問題は、創意工夫による付加価値創出よりも、労働投入の拡大で利益額を増やそうとしてしまうことです。

 

結果、従業員数が多くなり、一人当たり売上高が下がり、成長を目指そうとするほどに生産性が堕ちていくという悪循環に陥ってしまいがちです。

 

利益=付加価値-人件費

 

利益を人手よりも創意工夫から生み出そうとする控除法による付加価値意識が大切です。

 

創意工夫で付加価値を生み出そうとしていますか?

人手よりも創意工夫で利益を生み出そうとしていますか?

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