【第447話】中小企業のブランド化、成功の3条件
「やっと、お客様の反応が見えてきて、嬉しいです」と社長。新商品の販売を開始したものの、鳴かず飛ばずの状況が続いていました。ここにきて、なんとか商売になりそうな気配が漂ってきました。
食品、飲料…といった分野で、自社開発の商品を世に送り出そうという取組みが盛んです。
これまで生産だけだった経営が、加工、販売まで一気通貫で下流側に進出したり、飲食店が自社商品を企画して販売するような取り組みです。
まずお伝えしたいのは、自社で商品を企画開発して、商売を組立てていこうとする意識はとても素晴らしいことです。
これまで作るだけで、あとは誰かが売ってくれる…といった商売の姿には明らかに限界がきているからです。
ところが、残念ながら、こうした素晴らしい取組みをしっかりと商売の採算に乗せていくのは容易ではありません。
こうした際、失敗状況を呼び寄せてしまっているのが、間違った“ブランド化”です。この失敗型を克服していくことが、成功への条件といえることです。
まず、食品や飲料という分野は、お腹が減った、喉が渇いた…というように、確実に市場がある分野といえます。
それが故に、安定した市場ではあるものの、相当に成熟した市場であり、様々な商慣行もあって、いわば強者たちがひしめく世界です。
これまで、影の存在として経営に取り組んできた経営の場合、初めて自社看板の商品を創って、世に送り出すとなれば、その思い入れはとても良く分かります。
しかし、こうした強者どもの世界に、初めて自社商品を企画開発しました、良い物なので売って下さい…と営業したところで、どうなるでしょうかということです。
相手の方が上手です。ウチの商品を売って欲しい…と言ってしまっている時点で、交渉として負けています。
こうした限りなく洗練された市場でも、戦況を覆して、3年で10億…といった成功を見せている商売もあります。
こうした成功には大きく3つの条件があります。
まず、大切な成功の第一条件は、「作りさえすれば誰かが売ってくれる」という意識を捨てることです。
これを逆から見れば、自分で売る…という意識を事業計画段階から組み込むことです。
続いて、大切な成功の第二条件は、商品の企画を深堀することです。これまでにもあったような商品を進化させることです。
商品価値を高める、あるいは深めるという思考的な取組みが欠かせません。これがいわゆる「商品コンセプト」であり、新しさの源となるものです。
こうした場面でブランド化が叫ばれます。パッケージデザインをキレイにしたり、商品開発ストーリーを付したりということです。
これまでと同じ程度の商品のパッケージを変えただけ、ストーリーを付しただけで、売れるはずがないことは明らかです。
ブランドとは区別です。つまり何で覚えてもらうのかがあって、初めてブランドが語れます。それ自体の核を作らないかぎり、いくら飾ったところで商売になるはずはありません。
最後、第三の条件は、そうした新たな商品価値を説明できる“言葉”を創ることです。それは耳ざわりの良い詩的なものではありません。お客様がお財布を開ける理由になるような具体的なものです。当然のことならが商品のネーミングも同様です。
商品パッケージが「イメージ」になってしまっていませんか?
新たな商品価値が顧客視点で伝わるものになっていますか?