【第446話】経営計画で計画すべきことの本質
「来期に向けて経営計画をまとめてるんだけど、こんな感じで大丈夫なのかな?」と社長。
拝見すれば、とても素晴らしい計画だと断言できるものでした。
そもそも、経営において“計画”というのは、とても曖昧な言葉です。計画ですから、これから先の未来について語ろうとしていることは間違いありません。
ところが、その計画の仕上がり具合にはビックリするほどの違いがあります。その違いが生まれることにはいくつかの要因があります。
まず昨今、多くなってきたのが社会的意義で経営計画を書いてしまうパターンです。このビジネスにはこうした社会的意義があるのだと、ひたすらにデータの羅列があり、ご自身の主張が正しいことなのだということが語られます。
当然のことながら、事業、ビジネスというのは「世の中のため」であることは言うまでもありません。
ここで計画しようとしているのは、こうした「世の中のため」であることを前提として、自社が存続発展していくために、どのような価値提供を目指していくのかということが問われています。
それならば、経営における計画というのは、どのようなことが書かれているべきなのかというのとは自ずと見えてきます。
それは、事業に対する情熱を、商品サービスで表現しきれているか…ということです。
我々は、データや分析かあら、意義ある取り組みをしているという“説明”は計画と呼べるものではありません。
あるいは、これからこうしたことに取り組んでいくという行動レベルのものも経営計画と呼べるものではありません。
このような、行動レベルの計画とは言わばアクションプランであり、そのアクションに取り組むべき意義、理由、意図といったことが述べられていません。
経営計画とは、これからのビジネスの存在意義を一所懸命に説明するような情熱的なものではなく、あるいは、これから実施していくことの整理、アクションプランでもありません。
経営計画とは、当社のビジネスがなぜ存続発展でき得るのかを“説明”するためにまとめるものです。
ですから、「頑張ります」を宣言するものではなくて、今後の存続発展をどのように展開してくのかということの具体策が示されていることが欠かせません。
事業の経営は、従業員さんに動いてもらわなければ目標を達成し、実現していくことは無理なことです。
また、株主、金融機関、取引先といった関係各所に理解を求めることも欠かせません。そのために大切なのは、自社として納得の計画が描けているのかということです。
弊社は主にエンジニアリング業など、いわば理系ビジネスのお手伝いをさせていただいているため、どうしてもこうした情熱だけでビジネスを説明しようとすることに計画としての薄さを感じてしまいます。
言うまでもありませんが、経営計画とは、自社の将来を企て、それを関係各所にお伝えするために作成するものです。
そうした経営の本質的部分が、外部への委託、丸投げ…であったならばどうなのでしょうか?ということです。
御社が展開している事業、ビジネスとは、どんなものでしょうか?
世の中に貢献する意欲も大切ですが、その前に目の前のお客様に何を尽くそうとしているのかが大切です。
御社の情熱を商品・サービスで表現しきることが大切です。
計画はご自身で語ろうとしていますか?
社会的意義ではなく、お客様への提供価値で計画が語られていますか?