【第432話】新商品を成功させる差別化的リスクテイクの実践法

「ウチは材料メーカーなので、材料として提供するので…と話してきた」と社長。

 

やっと仕上げた商品WEBページからお問合せがあり、お客様と面談してきたということでそのご報告がありました。

 

こちらのプロジェクト、ちょっと面白い新商品が出来上がり販売を始めたのですが、お客様からの反応が弱く、どうテコ入れしたものか…ということで始まりました。

 

ちなみにこちらの企業、これまで専門技術サービスを提供してきたため、その看板でご相談が舞い込む…というスタイルで営業してきました。

 

そうしたこれまでのご経験を活かすことで面白い新商品が出来上がったのですが、どうもうまく販売が進みません。

 

商品は魅力的なのに販売が伸びない…。当然、経営に超えるべき問題を抱えています。

 

その問題とは…、これまで専門技術の立場から、お客様からのご相談に答えるスタイルのビジネスだったことに起因します。

 

こうした立ち位置でのビジネス、つまり先生的なポジションでビジネスをしてきたため、ご自身の専門領域の中だけでお客様に解答してしまうクセが付いてしまっていたのです。

 

こうしたクセから、やっと見込みのお客様からのお問合せを得て商談は舞い込むようになったものの、受注までには至らず…の状況が長く続いていました。

 

大切な点なので補足すれば、新商品というのはその商品の特性が新しければ新しいほど、お客様にとっても導入は冒険だということです。

 

そうした中、お客様から「こんな目的、用途で使いたいのですが…」とのご相談に対して、「我々は素材メーカーなので、材料を提供するのでその先はそちらでやって下さい」と回答しているのです。

 

これでは販売につながるはずがありません。これは実に単純な結果です。お客様から見れば「商品が完成していない」のです。

 

ちなみに、こうした「未完成な新商品」を完成品と見なしてしまっていることで、販売が進まないということが往々にしてあり得ます。

 

なぜこうした「未完成な新商品」ができ上がってしまうかといえば、そこには共通する経営者の心理があります。

 

それは、「それ以上、責任は取れない」という責任範囲を限定したいという気持ちです。

 

これはいわば逃げの気持ちです。自社商品を使ってどのように結果を出すかについてはお客様側の問題…と割り切りたいのです。

 

実際、技術者倫理としても「できないモノはできないと言うべき」と教え込まれていますし、そうした「できる」が嘘であることは許されるものではありません。

 

ただし、新商品の導入を検討されているお客様というのは、お客様なりに新しい挑戦的な結果を求めておられるからこそ、一歩踏み込んだ検討を進められているということなのです。

 

お客様も頑張っておられるのです。そうした状況に想いを馳せることなく、自社の新商品だけを都合良く売ろうなどというのは、道理が通りますか…ということです。

 

ビジネス上のお取引というのは、お客様と同じ船に乗るようなものです。新規のお取引を始めようとするならばお客様の領域にまで踏み込んでリスクを共にする覚悟が必要です。

 

そういう意味で、お客様の挑戦のために、もう一歩踏み込んで自分達側で出来得る努力はないのか…を自ら進んで考えようとする意識が大切です。結果として前進的なことが見いだせなかったとしても、これがお取引開始のスタートラインに立つための意識なのです。

 

営業はお客様の話を全部聞いてはならない…といったことがまことしやかに囁かれています。それは契約交渉上のコツであって、ビジネス上の姿勢としては間違っていると言わざるを得ないことです。

 

御社の新商品はお客様の挑戦に賛同していますか?

もう一歩踏み込んで、お客様が買えるところまで準備しませんか?

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