【第422話】成長発展に不可欠な“販売”拡大と“販路”拡大の根本的な違い

「実は、展示会に出展することになりまして、初めてなのでどんな準備をすれば良いでしょうか?」と新事業のプロジェクトリーダー。

 

ちなみに、こちらの企業、新製品が完成し、これから販売拡大を目指していこうとされていて、着々と準備が進められています。

 

なんでも、こうした中、知人からのご紹介を受けて、この展示会に出展してみようということになったとのこと。

 

出展までにあまり時間がなかったため、出展ブースへの誘導法、出展ブース内のレイアウト、展示物の作り方、商談資料の作り方…等、実務的な準備についてお伝えした上で、最も大切なことをお伝えしました。

 

それは、確認に近いことですが、「誰が来る展示会なのか…」ということです。

 

これは実に単純な話です。誰が来るのか…で準備すべき内容や目指す目標設定は違ってくるということです。

 

面白いのは、この“誰”をさて置いて、展示会、営業資料、ホームページ…多くの営業媒体が製作されます。

 

この“誰”を設定せず営業媒体の製作や情報発信を行ったとしたらどうなるでしょうか?

 

それらは全て、「聞き手不在の自己紹介」だということです。

 

少し話は逸れましたが、前述の新製品は主に個人のお客様向けですが、この展示会にいらっしゃる顧客層は法人であることが予想されました。

 

このため、“誰”を法人と設定し、求める法人の条件を整理した上で、販売代理店募集の商談数を目標設定として定めました。

 

その上で、自社で商談したい法人様に展示館にお出でいただくようご案内し、商談効率を高める努力をしました。

 

ここで大切なのは、展示会運営サイドに集客を委ねず自分たちで集客する意識です。

 

これは、独自の成長発展を遂げていくために、とても大切なことです。

 

どのように大切かといえば、集客、売る、販売…ということを、原則、自分たちでやる意識を持っているかどうかということです。

 

独自に開発した製品を持っているメーカー企業というのは、目指す買ってくれる人に向けてその売り方も自分たちで考えて“販売”を拡大しようとします。

 

一方、下請け的な企業の場合、買ってくれる人ではなくて、売ってくれる人を探そうと“販路”を拡大しようとします。

 

大切なことなのでもう少し補足すれば、この意識の違いの本質とは「自分たちでお客様、市場を創ろうとしているのか」、あるいは「既存の市場からお仕事をもらおうとしているのか」の違いだということです。

 

そういう意味で、「販売拡大」を目指す経営は、自分たちで新たな市場の創造を目指しています。一方、「販路拡大」の経営は、誰か仕事を下さいと叫んでいるに過ぎないということです。

 

このことは、経営に大きな影響をもたらします。それは「価格の決定権」です。

 

販売拡大を目指せば、自ら開拓した新市場で売るのですから価格の決定権を持つことができます。反対に販路拡大を目指してしまっていたならば、お声がかかるのは「この値段なら」となってしまうことは自ずと明らかです。

 

だからこそ、自分たちで売ろう…と考える意識が大切です。これは実際に直販体制を整えるということではなくて、販売代理店、商社、卸売、小売…こうした「販路」を用いたとしても、その先にある市場創造は自分たちでやるという意識を持って経営にあたっていることが重要です

 

新製品を通じて新市場を創ろうとしていますか?

営業スタイルは「販路拡大」ではなく「販売拡大」になっていますか?

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