【第423話】経営者の戦略立案にホントに大切なこと

「そういえば、市場調査とかやらないんですね。財務諸表も見ないですし。以前、お付き合いのあった診断士さんはSWOT分析ばかりで全然前に進まなくて…」と社長。

 

こちらの企業、とてもエッジの効いた新事業アイデアをお持ちで、その実現に向けて準備を進めておられます。

 

ちなみに、中小企業診断士やMBAなど、経営コンサルタントの資格や経営学位を持っているということは、経営に対して一定水準の知的訓練を受けている証拠といえます。

 

ですから、こうした資格や学位というのは、そうした訓練の証として持っている方が良いに決まっています。

 

ただし、勉強したことだけで混沌とした経営の世界を渡り歩いていけるか…といえばそんなはずはないでしょう。

 

特に、事業経営ともなればなおさらで、変化対応業、リスクテイク業ともいえることです。世の荒波を航海する荒行なのですから、通り一辺倒な戦略立案で渡りきれるものではありません。

 

弊社が市場調査や財務分析などを行わないのにはもちろん理由があります。

 

それは、やらなくても分かるからです。大方分かっていることの整理のために予算や時間を使っても仕方ないからです。

 

ただし…です。こうした戦略立案、計画策定…といった場面にあって、絶対に欠かせないことがあります。

 

それは、戦略立案にもいくつかの着眼があって、その着眼がとても大切だということです。さらに、このことを知らずに手を着け始めてしまうと、後戻りしにくいということも知っておきたいことです。

 

まず、御社が戦略立案にあたって、もし「PDCA」といった用語を用いていたとすると、ほとんど確実にその戦略策定が思うような未来に導いてくれることはありません。

 

この「PDCA」、いわゆるマネジメントサイクルですが、ISOなどでも推奨されているため、「こうやるものだ」ということで実施している企業も多いことでしょう。

 

ただし、ここでの問題はそのサイクルの起点となる「P」、計画の立て方や中身なのです。

 

この「P」が現状整理と改善目標のレベルに留まっていたならば、その経営計画はカイゼン計画と呼ぶべきものでしょう。

 

よって、このようなカイゼン計画も大切ながら、独自の成長発展を描いていこうとするならば、こうした計画のもっと上位概念の計画が必要ということはいうまでもありません。

 

その上位概念の計画が戦略であり、より未来思考なものです。

 

それならば、優れた戦略はどのように導かれるのでしょうか。ビジネススクールなどではこうした思考訓練はなされますが、多くは大企業向けです。

 

では、中小企業ではどのようにして優れた戦略を生み出していけばよいでしょうか。

 

その答えはとてもシンプルです。「自ら描けばそれが正解」ということです。ある意味、好き勝手に未来を描けばよいのです。したがって、分析や根拠など不要です。

 

ただし、こうした未来の描き方でホントに大切なことは「主体者であること」です。よって、未来の描き方は「こんな会社になる」ということであり、自社の内側を語ることです。

 

反対に、未来の描き方の失敗は、「世の中を幸せにしたい」、「地域を元気にしたい」、「業界を盛り上げたい」といったことです。こうしたことは、自社の外側を語ってしまっています。未来を描く…とは、世の中のことではなくてまずご自身のことです。

 

一般に、戦略は環境適応という外部環境との文脈で語られがちです。しかし、その本質はそうではありません。経営者がどうなりたいのか、そのためにどういう修行を積む覚悟なのかを語ることが大切です。

 

未来像を自らの姿で語っていますか?

そのために積む修行を伝えようとしていますか?

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