【第421話】営業媒体を営業マンが使えるように変革して売上を伸ばす法
「実は…、このパンフレットは営業に使っていませんで、営業には営業サイドで準備したパワポ資料でやってます」と営業ラインを担当する常務殿からのご返答。
これは販売拡大プロジェクトへの着手にあたり「このパンフレットで営業されているんですか?」とお聞きしたところ、実は…という訳です。
これは経営上、とても大きな問題です。大きなムダが生まれていますし、何か根本的な対策が必要であるということは、言うまでもないことでしょう。
ちなみに、営業さんが会社が準備した営業媒体を使っていない…ということは多々あります。使っていない、使えないとまでは言わなかったとしても、その営業媒体だけでは受注、クロージングに至らない…ということで、他に諸々と準備されているのです。
商品パンフィレット、フライヤー、WEBページ…、こうした営業媒体の作り方によって、営業効率は極めて大きく変わってきます。
こうした営業媒体の作り込みに問題を抱えている場合が多いことには理由があります。
表面的な症状レベルでこの問題を捉えるならば、「商品開発の説明になっていて報告書みたい」、「営業側ではなく技術側が作っていて分かりにくい」、「広告会社にヒアリングして作ってもらっているから」といったことが浮かんでくるでしょう。
ところが、本当の問題、根本原因は違います。
その根本原因とは、「自分たちを説明している」ことです。こうした営業媒体の失敗作は全て、自分たちがやれること、自分たちがこれまでやってきたこと、自分たちはこんなことやってます…という「自分たち」を伝えようとしています。
こうした営業媒体は、いわば「自己紹介」です。はじめまして…と渡す分には意味を持つかもしれません。こうした営業媒体をお渡しすることの意味はあくまでも自己紹介なので、自分たちのことを補って説明してくれる役割程度は担ってくれることでしょう。
ただし、それだけで「もう少し説明を聞かせてください」、「前向きに検討します」、「購入しようと思います」といった期待する反応が得られないのは、お客様にとっては自己紹介されただけ…なのですから当然のことです。
もし御社の営業媒体が“自己紹介”になっていたとすれば、こうした営業媒体というのは「ちょっと詳しい名刺」をお渡ししているのと大して変わらないということなのです。
これが、営業媒体が販売促進、お客様の需要喚起に役に立っていない根本原因であり、営業効率を低迷させている正体なのです。
大切な点なのでもう少し補足すれば、これは「営業の問題」ではなくて「経営の問題」だということです。
その意味で、経営の意識がそうなのです。お客様のことにまで意識が及んでいないから自己紹介が始まってしまうのです。
経営とはお客様活動です。そうであるならば、営業媒体はお客様のことを語っていなければなりません。
営業媒体とはお客様への提案であり、提案であるということは御社の商品・サービスを購入したならばどうなるか…という購入後を説明していることが大切です。
こうした本質的な意識を欠いたまま、営業媒体製作のテクニック、デザイン、アプリ操作といったことを覚えたところで根本的な解決を図ることができないのは明らかです。
いかがでしょうか。ぜひチェックして頂きたいのです。御社の商品パンフレット、フライヤー、WEBサイト…営業媒体が「自己紹介」になっていないでしょうか?
一つだけハッキリと言えることは、経営がお客様活動であるという意識に立てば、営業媒体は「自分たちのこと」ではなくて「お客様のこと」を語っていることが不可欠ということです。
営業媒体が「自己紹介」になっていませんか?
お客様に商品サービスの購入後をご提示できていますか?